消費者機構日本と三井ホームエステート株式会社の控訴審判決について

差止請求詳細

事業分類

不動産業,物品賃貸業

事業者等名

三井ホームエステート株式会社

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者機構日本(以下「原告」という。)が不動産の売買、賃貸借、管理、仲介業務等を目的とする三井ホームエステート株式会社(以下「被告」という。)に対し、被告が不特定かつ多数の消費者との間で建物賃貸借契約を締結又は更新する際に使用している契約書に①更新料の支払を定めた条項(以下「本件更新料支払条項」という。)及び②契約終了後に明渡しが遅滞した場合の損害賠償額(賃料、共益費及び附帯施設管理費相当額の2倍相当)の予定を定めた条項(以下「本件倍額賠償予定条項」という。)が含まれており、当該条項は消費者契約法(以下「法」という。)第9条第1号及び第10条に該当し無効であるとして、その契約の申込み又は承諾の意思表示の停止及び契約書用紙の破棄並びにこれらを従業員に周知徹底させる措置をとることを求めた事案の控訴審である。
 原判決(平成24年7月5日付けで東京地方裁判所が言渡し)は、①本件更新料支払条項及び②本件倍額賠償予定条項について、消費者契約法第9条第1号及び第10条に該当しないとして原告の請求をいずれも棄却したところ、原告は、これを不服とし、平成24年7月19日付けで東京高等裁判所に控訴した。

差止請求根拠条文

消費者契約法第9条第1号、消費者契約法第10条

結果

 東京高等裁判所は平成25年3月28日、原判決は相当であるとして、以下のとおり、原告の補充主張に対する判断を加え、原告の控訴を棄却した。

当該裁判の主たる争点

 ①本件更新料支払条項については、契約書の文言によれば、本件更新料は、賃貸借契約を締結する際に、賃貸人が、普通借家契約を選択することにより、法定更新制度を背景に自らの選択により契約期間を更新できる地位を取得し、契約期間満了時において、賃貸借契約の継続を選択する利益が具体化した場合に、その具体化した利益、すなわち賃貸借契約を継続することの対価として支払われるものであるところ、原告は、更新拒絶の正当事由がない限り賃貸借契約が更新されることは借地借家法によって認められているものであり、選択権行使は、法律上(借地借家法)付与された権利の行使であって、それについて、賃借人が賃貸人に対して対価を支払うべき理由はないと主張するけれども、選択権の行使自体は賃借人の権利の行使であったとしても、それによって賃借人において賃貸借契約の継続を選択する利益が具体化するものであることには変わりはないから、その対価を支払うべき理由がないとはいえないとした上で、本件更新料支払条項には、法定更新の場合も含めて更新料の支払義務が明記されていること、更新される期間は2年間とした上で、更新料の額が更新後の賃料の1か月分であり、その額は賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らして特に高額に過ぎるなどの特段の事情があるとはいえないこと、賃貸人と賃借人との間に情報の質及び量並びに交渉力の格差が存在することを窺わせる事情は認められないことからすると、本件更新料支払条項は、法第10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと解するのが相当である等とした。
 ②本件倍額賠償予定条項については、同条項は、契約終了の原因がいかなるものであるかにかかわらず、契約が終了した後において、賃借人が明渡し義務を履行せずに賃借物件の明渡しを遅延した場合における使用料相当の損害金一般について定めた規定であり、その対象となる損害は、契約の解除後に賃借人が賃借物件の返還義務を履行せずに使用を継続することによって初めて発生するものであって、契約の解除時においては、損害発生の有無自体が不明なものであるから、このような損害について賠償の予定額を定めた同条項を、法第9条第1号に規定する消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し又は違約金を定める条項であると解することは相当でない(原告が主張するように、法第9条第1号が、解除により通常想定される明渡しまでを規制しているものと解することはできない。)とした。また、本件倍額賠償予定条項は、賃貸借契約終了後のおける賃借物件の円滑な明渡しを促進し、また、明渡しの遅延によって賃貸人に発生する損害を一定の限度で補填する機能を有するものであるところ、賃借人が明渡しを遅延した場合、賃貸人は当該目的建物を他に賃貸して収益を上げることができなくなるほか、賃借人との交渉や明渡し訴訟の提起、強制執行などに要する費用の負担の発生などの損害が容易に想定されること、同条項の使用料相当損害金には明渡し義務履行の促進の機能を有するための違約金としての要素も含まれることなどを考慮すれば、同条項において使用料相当損害金の額を賃料等の2倍と定めることは、高額に過ぎるとか、同条項の目的等に照らして均衡を失するということはできない等とした。

参考資料

判決日・事案終了日

平成25年3月28日

ステータス

終了

適格消費者団体

消費者機構日本

お問い合わせ先

03-5212-3066

その他

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消費者庁公表資料

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この事案の経過