消費者機構日本と三井ホームエステート株式会社の判決について

差止請求詳細

事業分類

不動産業,物品賃貸業

事業者等名

三井ホームエステート株式会社

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者機構日本(以下「原告」という。)が不動産の売買、賃貸借、管理、仲介業務等を目的とする三井ホームエステート株式会社(以下「被告」という。)に対し、被告が不特定かつ多数の消費者との間で建物賃貸借契約を締結又は更新する際に使用している契約書に①更新料の支払を定めた条項(以下「本件更新料支払条項」という。)及び②契約終了後に明渡しが遅滞した場合の損害賠償額の予定を定めた条項(以下「本件倍額賠償予定条項」という。)が含まれており、当該条項は消費者契約法(以下「法」という。)第9条第1号及び法第10条に該当し無効であるとして、その契約の申込み又は承諾の意思表示の停止及び契約書用紙の破棄並びにこれらを従業員に周知徹底させる措置をとることを求めた事案である(平成22年9月6日付けで東京地方裁判所に対して訴えを提起)。

差止請求根拠条文

消費者契約法第9条第1号、消費者契約法第10条

結果

 東京地方裁判所は平成24年7月5日、以下の理由により、原告の請求をいずれも棄却した。

当該裁判の主たる争点

 ① 本件更新料支払条項が、法第9条第1号又は法第10条に規定する消費者契約の条項に該当し、無効であるか。
 ② 本件倍額賠償予定条項が、法第9条第1号又は法第10条に規定する消費者契約の条項に該当し、無効であるか。

 争点①について、更新料は、一般に、賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものと解するのが相当であるところ、本件更新料条項に基づく更新料(以下「本件更新料」という。)は、契約書の内容に照らして、主として賃貸借契約を継続するための対価として支払われるものと解されるとしたうえで、法第9条第1号該当性について、そのような本件更新料の性質上、本件更新料支払条項において、更新後の契約期間の途中で賃貸人の責めに帰すべからざる事由によって契約が終了した場合でも本件更新料が返還されない旨が定められているからといって、同条項をもって、契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であると解することはできないから、本件更新料支払条項が法第9条第1号により無効であると認めることはできない、とした。
 次に法第10条該当性については、本件更新料支払条項は、一般的には賃貸借契約の要素を構成しない本件更新料の支払債務を特約により賃借人に負わせるという意味で、任意規定の適用による場合に比し、消費者である賃借人の義務を加重するものであるから、同条項は法第10条前段の要件を充足するものとした。しかし、同条後段の該当性については、更新料の支払を約する条項が賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載されていると認められ、かつ、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、同条後段にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと解するのが相当であるところ、本件更新料支払条項は、更新料の支払義務及びその金額の算定方法が契約書に一義的かつ明確に記載されているうえ、賃貸借契約の更新期間を2年としつつ、更新料の額を賃料1か月分とする本件更新料の額が高額に過ぎるものと認めることはできないから、上記特段の事情が存するとはいえず、本件更新料支払条項は法第10条後段の要件を充足しないとし、同条項が同条により無効であると認めることはできない、とした。

 また争点②について、まず法第9条第1号該当性については、本件倍額賠償予定条項は、約定解除権又は法定解除権が行使されて賃貸借契約が終了する場合のみならず、契約が終了した場合一般について、それにもかかわらず賃借人が賃借物件の明渡義務の履行を遅滞している場合の損害に関する条項であって、契約の解除に伴う損害に関する条項ではないと解すべきであるから、本件倍額賠償予定条項について法第9条第1号を適用することはできず、同条項が同号により無効であると認めることはできない、とした。
 また法第10条該当性については、本件倍額賠償予定条項は、具体的な損害の発生やその金額の主張立証を要することなく、一定金額の損害賠償請求を賃貸人に認めるという意味で、任意規定の適用による場合に比し、消費者である賃借人の義務を加重するものであるから、同条項は法第10条前段の要件を充足するものとした。しかし、同条後段の該当性については、賃貸借契約において、契約終了後の明渡義務の履行が遅滞したときの損害賠償額を予め定める場合、その額を、契約期間中において毎月支払うこととされていた賃料等の合計額を超える金額とすることは、賃貸人に生ずる損害の填補あるいは明渡義務の履行の促進という観点から相応の合理性を有するものということができるから、そのような損害賠償額の予定条項については、上記観点に照らし不相当に高額であるといった事情が認められない限り、同条後段には当たらないと解するのが相当であるところ、本件倍額賠償予定条項については、賃料等の2倍の額という賠償額の定めは不相当に高額であるということはできないなどとして、同条項が法第10条により無効であるということはできない、とした。

参考資料

判決日・事案終了日

平成24年7月5日

ステータス

終了

適格消費者団体

消費者機構日本

お問い合わせ先

03-5212-3066

その他

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消費者庁公表資料

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この事案の経過