消費者支援機構福岡と株式会社日本セレモニーの判決について

差止請求詳細

事業分類

生活関連サービス業,娯楽業

事業者等名

株式会社日本セレモニー

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者支援機構福岡(以下「原告」という。)が、冠婚葬祭の互助会を運営する株式会社日本セレモニー(以下「被告」という。)に対し、被告が消費者との間で締結している冠婚葬祭互助会契約(割賦販売法上の前払式特定取引に当たる。)において、契約の解約時に払戻金から所定の手数料が差し引かれるとの条項(以下「本件解約金条項」という。)を使用していることに関して、本件解約金条項は、消費者契約法(以下「法」という。)第9条第1号に規定する「平均的な損害」の額を超える違約金を定めるものに当たり、また、法第10条に規定する信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものにも当たると主張して、解約時に支払済金額から解約金を差し引いて消費者に対し返金する旨を内容とする意思表示等の差止めを求めた事案である(平成24年12月26日付けで、福岡地方裁判所に訴えを提起。判決後、原告は福岡高等裁判所に控訴している。)。

差止請求根拠条文

消費者契約法第9条第1号、消費者契約法第10条

結果

 福岡地方裁判所は、平成26年11月19日、以下のとおり判示して、原告の請求を一部認容した。

当該裁判の主たる争点

 ① 本件解約金条項に適用されるべき「別段の定め」(法第11条第2項)の有無、つまり本件解約金条項への消費者契約法の適用の可否
 ② 本件解約金条項の法第9条第1号該当性
 ③ 本件解約金条項の法第10条該当性

〔争点①〕
ア 割賦販売法第6条第1項第3号の類推適用の可否
 割賦販売法第6条第1項第3号は、役務提供等の開始前の契約の解除に伴う損賠賠償の予定等の額を「契約の締結及び履行のために通常要する費用の額」等に制限する旨の規定であり、法第9条第1号の「別段の定め」に当たるところ、被告は、割賦販売法第6条第1項第3号を準用する前払式割賦販売(同法第11条)と前払式特定取引(同法第2条第6項第2号)は取引の基本的な仕組みが共通するとして、同法第6条第1項第3号の類推適用を主張した。これに対し、裁判所は、同法上、前払式特定取引の条項の効力を規律する条項はなく、同法第6条第1項第3号は前払式特定取引に準用される規定として掲げられていない(同法第35条の3の62)などの規定ぶりや、前払式割賦販売は、前払時に定まっている目的たる商品ないし役務の対価を分割払いするものである一方、本件互助会契約は、提供を受ける役務の内容が定まっていない段階において、将来的に冠婚葬祭の役務を提供してもらう必要が生じた場合に備えて、その対価となるべき月掛金を前払いで積み立てるものであり、両者の取引の基本的な仕組みが共通しているともいえないなどから、本件互助会契約に同法第6条第1項第3号を類推適用することはできないとした。
イ 特定商取引法第10条第1項第4号の適用の可否
 特定商取引法第10条第1項第4号は、役務提供等の開始前の訪問販売(同法第2条第1項)等に当たる売買契約又は役務提供契約の解除に伴う損害賠償の予定等の額を「契約の締結及び履行のために通常要する費用の額」等に制限する旨の規定であるところ、法第9条第1号の「別段の定め」に当たるとし、特定商取引法の訪問販売に当たる本件互助会契約については、同法第10条第1項第4号が法第9条第1号に優先して適用されるとした。

〔争点②〕 本件解約金条項の法第9条第1号該当性
 被告は、本件互助会契約の締結により冠婚葬祭に係る抽象的な役務提供義務を負うものの、被告が会員のために冠婚葬祭の役務の提供に向けた具体的な準備活動を始めるのは当該会員から役務の提供の請求を受けた後となるため、具体的な冠婚葬祭の役務の提供の請求を受ける前に会員が契約を解除した場合における被告に生じる「平均的な損害」の額は、契約の締結及び履行のために通常要する平均的な費用の額であり、ここでの平均的な費用は、同種契約の締結及び履行において通常要する費用であって、性質上個々の本件互助会契約との間における関連性が認められるものを意味するとした。また、会員は被告に対して役務提供を請求する義務を負わないため、逸失利益は法第9条第1号の「平均的な損害」に当たらない。さらに、役務提供前に契約が解除された場合、被告には契約の締結及び履行のために支出した費用に相当する金額を超える損害は何ら生じず、法第9条第1号の「平均的な損害」の額と特定商取引法第10条第1項第4号の「契約の締結及び履行のために通常要する費用」の額とは、趣旨の異なる概念であるとしつつも、本件においては、結果的に一致するとした。
 その上で、本件互助会契約に係る各種費用の項目について検討し、本件における被告の「平均的な損害」の額は、425円(会員募集に要する費用の合計額)に当該会員の入会期間1年につき408円(会員管理に要する費用の合計額)を加えた額とし、これを超える解約手数料を月掛金の返金額から差し引くことを内容とする部分について無効となるとした。

〔争点③〕 本件解約金条項の法第10条該当性
 原告は、法第9条第1号の充足性を根拠付ける事実以外に、本件解約金条項が任意規定に反し、かつ、その違反の程度が信義則に反する程度に達していることを根拠づける具体的事実を主張しないとして、法第10条に関する原告の主張は失当であるとした。

参考資料

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判決日・事案終了日

平26年11月19日

ステータス

終了

適格消費者団体

消費者支援機構福岡

お問い合わせ先

092-292-9301

その他

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消費者庁公表資料

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この事案の経過