消費者支援機構関西と株式会社明来の控訴審判決について

差止請求詳細

事業分類

不動産業,物品賃貸業

事業者等名

株式会社明来

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者支援機構関西(以下「原告」という。)が、不動産賃貸業等を営む株式会社明来(以下「被告」という。)に対し、①破産、後見開始、保佐開始等を理由とする解除権を賃貸人に付与する条項(以下「本件解除条項」という。)、②契約終了後の明渡しの履行遅滞による損害として家賃2か月分に相当する賠償額を予定する条項、③滞納家賃を督促する手数料を賃借人が1回あたり3,150円支払う条項、④自然損耗を超える汚損の有無にかかわらず賃借物件の補修費用(面積に応じた一定額)を賃借人に負担させる条項などが、消費者契約法(以下「法」という。)第9条各号又は第10条に該当するとして、同契約書による意思表示の差止め、契約書用紙の廃棄等を求めた事案の控訴審である。
 原判決(平成24年11月12日付けで大阪地方裁判所が言渡し)は、本件解除条項(①)のうち、賃借人に対する後見開始又は保佐開始の審判や申立てがあったときに直ちに契約を解除できる旨の条項に係る部分については、法第10条に該当するとして、その意思表示の差止め等を認めたが、①のうち賃借人が破産等の決定又は申立てを受けた場合に解除を認める部分や②~④の原告の請求は棄却した。
 原告はこれを不服とし、平成24年11月26日付けで大阪高等裁判所に控訴し、被告は平成25年2月27日付けで同裁判所に附帯控訴した。

差止請求根拠条文

消費者契約法第9条第1号、消費者契約法第9条第2号、消費者契約法第10条

結果

 大阪高等裁判所は、平成25年10月17日、原判決を一部変更し、本件解約条項(①)について、以下のとおり判示して、賃借人が破産等の決定又は申立てを受けた場合に解除を認める部分についても、法第10条により無効であるとして差止請求を認めるという内容に変更し、原告のその他の部分(②~④)についての控訴及び被告の附帯控訴を棄却した。

 (適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者支援機構関西が行っていた事業者(以下「相手方」という。)に対する上告受理の申立てについて、同申立ては受理しない旨の決定(平成27年3月3日付け)がされた。また、相手方による上告及び上告受理の申立てについては、上告を却下し、上告受理の申立ては受理しない旨の決定(同日付け)がされ、相手方に対する差止請求の一部を認めた控訴審判決が確定した。)

当該裁判の主たる争点

 すなわち、本件解除条項(①)中で、消費者に関係する破産、民事再生、競売、仮差押え、仮処分、強制執行の決定又は申立てを受けたときについては、これらの事由は、「一般的には賃借人の経済的破綻を徴表する事由である」としつつ、「これらの事由があっても、賃借人の賃料債務の不履行の有無や程度は個別事案によって異なるものであり、(中略)上記事由が発生したという一事をもって直ちに賃貸借契約から発生する義務違反があり、賃貸借契約当事者間の信頼関係が破壊されていると評価するのは、相当とは考えられない」ことや、賃貸人は、特約において解除事由としている一定の要件(賃借人が家賃共益費等の支払いを2か月以上滞納)を満たせば、催告の上、本契約を解除できるのであるから、「本件解除条項が無効とされた場合に賃貸人が被る不利益も、本件解除条項が有効とされた場合に賃借人が被る不利益に比して、大きいものとはいえない」ことから、これらの事由が発生した場合に解除を認める条項は法第10条後段に該当し、法第12条第3項に基づく差止めが認められるとした。
 また、賃借人に対する後見開始又は保佐開始の審判や申立てがあったときに直ちに契約を解除できる旨の条項に係る部分については、原審の理由に加え、「後見開始や保佐開始の審判がされれば、成年後見人や保佐人が付され、同人らによって財産管理がされ、近隣紛争の解決が期待できるから、成年被後見人、被保佐人の宣告や申立てを受けたことは、賃貸借契約の信頼関係破壊の徴表に当たるとはいえない」として、法第10条に該当し、法第12条第3項に基づく差し止めが認められるとした。
 ②については、法第10条前段に該当するが、原審での理由に加えて、賃貸人の損害の填補や賃借人の明渡義務の履行を促すという観点に照らし、あらかじめ賃料以上の一定の額を損害賠償額の予定として定めることは、合理性を有しており、賃料の2倍という額は、高額過ぎるとまではいえないとして、同条後段には該当しないとし、差止めは認められないとした。
 ③については、法第10条前段に該当するが、原審での理由に加えて、賃貸人は、単に普通郵便で催告するのみでなく、内容証明郵便を送ったり、場合によっては、現地に従業員を赴かせて直接督促したりするなど相応の費用を要することが少なくないこと、実際に要した費用が定められた金額を超える場合でも賃借人は定められた金額を支払えば足りるという点では賃借人に有利な面もあること等から、同条後段には該当しないとし、差止めは認められないとした。
 ④については、法第10条前段に該当するが、原審での理由等から同条後段には該当せず、差止めは認められないとした。

参考資料

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判決日・事案終了日

平成27年3月3日

ステータス

終了

適格消費者団体

消費者支援機構関西

お問い合わせ先

06-6945-0729

その他

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消費者庁公表資料

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この事案の経過