消費者支援機構関西と株式会社明来の判決について

差止請求詳細

事業分類

不動産業,物品賃貸業

事業者等名

株式会社明来

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者支援機構関西(以下「原告」という。)が、不動産賃貸業等を営む株式会社明来(以下「被告」という。)に対し、破産、後見開始等を理由とする解除権を賃貸人に付与する条項(以下「本件解除条項」という。)、契約終了後の明渡しの履行遅滞による損害として家賃2か月分に相当する賠償額を予定する条項(以下「本件損害金条項」という。)、滞納家賃を督促する手数料を賃借人が1回あたり3,150円支払う条項(以下「本件催告手数料支払条項」という。)、自然損耗を超える汚損の有無に係わらず賃借物件の補修費用(面積に応じた一定額)を賃借人に負担させる条項(以下「本件クリーンアップ代金支払条項」という。)などが、消費者契約法(以下「法」という。)第9条各号又は第10条に該当するとして、同契約書による意思表示の差止め、契約書用紙の廃棄等を求めた事案である(平成23年11月8日付けで大阪地方裁判所に対して訴えを提起)。

差止請求根拠条文

消費者契約法第9条第1号、消費者契約法第9条第2号、消費者契約法第10条

結果

 大阪地方裁判所は、平成24年11月12日、以下のとおり、原告の請求を一部認容した。

当該裁判の主たる争点

① 本件解除条項の法第10条該当性
② 本件損害金条項の法第9条第1号及び第10条該当性
③ 本件催告手数料支払条項の法第9条第2号及び第10条該当性
④ 本件クリーンアップ代金支払条項の法第9条第1号及び第10条該当性
  など

 争点①について、「本件解除条項のうち、解散、破産、民事再生、会社整理、会社更生、競売、仮差押、仮処分及び強制執行の決定又は申立てについては、賃借人の支払不能状態、経済的破綻を徴表する事由であり、賃貸借契約当事者間の信頼関係を破壊する程度の賃料債務の履行遅滞が確実視される事由ということができる」ため、この場合に「賃貸借契約の解除を認める部分は信義則に反するものではなく、法10条後段に該当しない。」とし、他方、「成年被後見人及び被保佐人の開始審判や申立てについては、賃借人の資力とは無関係な事由であり、申立てによって財産の管理が行われることになるから、むしろ、賃料債務の履行が確保される事由ということができる」とし、この点については、法第10条前段及び後段に該当し、法第12条第3項に基づく差止めが認められるとした。
 争点②について、契約終了後明渡しまでの間賃料の2倍相当の損害金を支払うことを内容とする「本件損害金条項は、契約終了後の明渡義務の履行が遅滞した場合の損害賠償額の予定であって、具体的な損害の発生や金額の主張立証を要せずに賃借人に対する損害賠償を可能とする点において、任意規定の適用による場合に比べ、消費者である賃借人の義務を加重するものといえ」、法第10条前段に該当するとしたが、他方、賃貸人は「賃借人の明渡しのために相当の費用及び時間をかけて訴訟手続及び強制執行手続をとらなければならず、その費用の回収も確実とはいい難く、回収に至るまでの時間を金額的に評価すると相当なものになることは容易に想定され、賃貸人に通常生ずべき損害は賃料相当額にとどまるものではない。」とし、「賃料の2倍の損害金を損害賠償額の予定として定めることは、信義則に反するとはいえず、本件損害金条項は、法10条後段に該当しない。」から、差止めは認められないとした。
 争点③について、催告手数料として1回あたり3,150円を払うとの条項は、「実際に催告に要した費用が3,150円を下回る場合には、賃借人は本来支払う必要のない金員を支払うことになることから、民法の規定が適用される場合に比べて賃借人の義務を加重する条項といえ」るから法第10条前段に該当するとし、他方、「賃貸人は、催告の実費を賃借人に請求するには、電話代、郵送料、交通費などのコストのみにとどまらず、その証憑書類を確保し、回収まで保存するなどのコストも必要となるのであって、これらのコストは膨大なものとな」る等から、本条項は信義則に反するものではなく、法第10条後段に該当しないとし、差止めは認められないとした。
 争点④について、クリーンアップ代として面積に応じて一定額の支払いを求める条項は、「賃借物件の清掃という通常損耗の回復費用を賃借人に負担させるものであるから、法10条前段の民法の規定の適用による場合に比べて消費者の義務を加重するもの」といえ、法第10条前段に該当するとし、他方、「借主が通常の清掃を実施している場合の専門業者によるハウスクリーニングクリーンアップ代が借主の費用負担と明示しているから、賃借人にとって、クリーンアップ代の支払によって負担する部分について明確に認識することができ」、「賃料から上記クリーンアップ代の回収をしないことを前提に賃料額が合意されているとみるのが相当である」ことから、本件クリーンアップ代金支払条項が契約書に特約事項として付加される場合には、賃借人は、クリーンアップ代によって負担される清掃作業及び金額を認識して合意することができ、その金額の程度からしても過重な負担とはいえないことを考えると、本条項が信義則に反して消費者を一方的に害するとまではいえないため、法第10条後段に該当しないとし、差止めは認められないとした。
 また、本件クリーンアップ代金支払条項は、解除に伴う損害賠償額の予定等に関する条項ではないこと等から法第9条第1号に該当しないとした。
 その他、原告が、被告に対し、その従業員に対して意思表示をするための事務を行わないこと及び契約書用紙を廃棄することの指示を求めている点については、被告に対して意思表示の差止めと契約書用紙の廃棄を命じるならば、当然その趣旨は包含されるから、改めて従業員への指示を命ずる必要性までは認められないなどとした。

 以上のとおり、本件解除条項のうち、成年被後見人及び被保佐人の開始審判や申立てを解除事由とする部分については、法第10条に該当し、その意思表示の差止めを認めるべきであるが、その余の各条項については、意思表示を行うおそれがないか、法第9条及び第10条のいずれにも該当しないから、意思表示の差止めを認める理由がないとした。

参考資料

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判決日・事案終了日

平成24年11月12日

ステータス

終了

適格消費者団体

消費者支援機構関西

お問い合わせ先

06-6945-0729

その他

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消費者庁公表資料

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この事案の経過