消費者機構日本と株式会社フェニックスとの間の差止請求に関する協議が調ったことについて

差止請求詳細

事業分類

卸売業,小売業

事業者等名

株式会社フェニックス

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者機構日本(以下「消費者機構日本」という。)が、株式会社フェニックス(以下「フェニックス」という。)に対し、フェニックスが使用する中古自動車の売買契約において用いる契約条項のうち、以下の条項(以下「本件条項」という。)について、下記のとおり消費者契約法(以下「法」という。)第8条第1項第1号から第4号まで及び第2項、第9条第1号並びに第10条(※1)に該当し無効であるとして、本件条項の修正又は削除を求めた事案である。

(本件条項)
ア 「一般約款」
・ 契約成立後、買主たる消費者が契約を解除した場合、解除の時期にかかわらず一律に消費者が申込金及び預り金の返還請求をできないとする旨の条項は、事業者に生ずべき「平均的な損害の額を超える」損害賠償額の予定又は違約金を定めるものであり、法第9条第1号に該当し、平均的な損害の額を超える部分は無効である。
・ フェニックスが自己の都合により契約に応じられない場合に、消費者は一切の異議申立てができないとする旨の条項は、事業者の債務不履行により生じた消費者の損害を賠償する責任の全部を免除するものであり、法第8条第1項第1号に該当し無効である。
・ 契約車両が中古車である場合、消費者とフェニックスとの間で交わされた契約書記載の走行距離・前使用者の使用態様等により通常生じる瑕疵について、消費者は一切の異議申立てができないとする旨の条項は、事業者の債務不履行又は不法行為により生じた消費者の損害を賠償する責任の全部又は一部を免除することとなり、フェニックスの過失の態様によっては、法第8条第1項1号から第4号までのいずれかに該当し無効である。
 また、上記の条項は、通常生じる瑕疵が、契約の内容に適合しない場合においては、法8条第2項に該当し無効である。
・ フェニックスの責めに帰すべき事由によって車両に修理が必要な場合に、「保証無」のときに修理費用を消費者負担とすることは、事業者の債務不履行により生じた消費者の損害を賠償する責任の全部を免除する条項であり、法第8条第1項第1号に該当し無効である。また、「保証有」のときに車両の持込費用を消費者負担とする旨の条項は、事業者の債務不履行により生じた消費者の損害を賠償する責任の一部を免除する条項であり、同項第2号に該当し無効である。
・ 下取車をフェニックスが再査定した場合、その再査定価格をもって下取価格を消費者に強いる旨の条項は、下取契約に関する契約の自由を一方的に奪うものであり、法第10条に該当し無効である。

イ 「注意事項」
・ フェニックスの無料によるサービス等の用命事項について、消費者がフェニックスの責任を問うことができないとする旨の条項は、事業者の債務不履行により生じた消費者の損害を賠償する責任の全部を免除するものであり、法第8条第1項第1号に該当し無効である。
・ 写真画像の使用方法について「思いもよらぬ損害」が消費者に生じた場合においてフェニックスに損害賠償義務が無いとする旨の条項は、事業者の債務不履行責任又は不法行為により生じた消費者の損害を賠償する責任の全部を免除するものであり、法第8条第1項第1号又は第3号に該当し無効である。
・ 契約車両の車外パーツ取付けによる不具合がある場合でも、消費者は一切の異議申立てができないとする旨の条項は、事業者の債務不履行により生じた消費者の損害を賠償する責任の全部を免除するものであり、法第8条第1項第1号に該当し無効である。
・ 消費者の要望により契約書に記載した事項について、フェニックスが違反した場合でも消費者は一切の異議申立てができないとする旨の条項は、事業者の債務不履行により生じた消費者の損害を賠償する責任の全部を免除するものであり、法第8条第1項第1号に該当し無効である。

(※1)消費者契約法
(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)
第八条 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
 一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
 二 事業者の債務不履行(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し、又は当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項
 三 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
 四 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し、又は当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項
2 前項第一号又は第二号に掲げる条項のうち、消費者契約が有償契約である場合において、引き渡された目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき(当該消費者契約が請負契約である場合には、請負人が種類又は品質に関して契 約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき(その引渡しを要しない場合には、仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき。)。以下この項において同じ。)に、これにより消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任を免除し、又は当該事業者にその責任の有無若しくは限度を決定する権限を付与するものについては、次に掲げる場合に該当するときは、同項の規定は、適用しない。
 一 当該消費者契約において、引き渡された目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないときに、当該事業者が履行の追完をする責任又は不適合の程度に応じた代金若しくは報酬の減額をする責任を負うこととされている場合
 二 当該消費者と当該事業者の委託を受けた他の事業者との間の契約又は当該事業者と他の事業者との間の当該消費者のためにする契約で、当該消費者契約の締結に先立って又はこれと同時に締結されたものにおいて、引き渡された目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないときに、当該他の事業者が、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことにより当該消費者に生じた損害を賠償する責任の全部若しくは一部を負い、又は履行の追完をする責任を負うこととされている場合

(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
 一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
 二 [略]

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

注)上記の差止請求が行われた日現在の規定

差止請求根拠条文

消費者契約法第8条第1項第1号、消費者契約法第8条第1項第2号、消費者契約法第8条第1項第3号、消費者契約法第8条第1項第4号、消費者契約法第9条第1号、消費者契約法第10条

結果

 消費者機構日本は、令和3年7月7日、フェニックスに対する申入れを開始し、フェニックスにより申入れの趣旨に沿う対応がなされたものとして、令和6年6月20日、申入れを終了した。

当該裁判の主たる争点

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参考資料

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判決日・事案終了日

令和6年6月20日

ステータス

終了

適格消費者団体

消費者機構日本

お問い合わせ先

03-5212-3066

その他

-

消費者庁公表資料

この事案の経過