消費者ネットおかやまと鳥取瓦斯産業株式会社との間の差止請求に関する協議が調ったことについて

差止請求詳細

事業分類

電気・ガス・熱供給・水道業

事業者等名

鳥取瓦斯産業株式会社

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者ネットおかやま(以下「消費者ネットおかやま」という。)が、鳥取瓦斯産業株式会社(以下「鳥取瓦斯産業」という。)に対し、鳥取瓦斯産業が使用するLPガス供給契約における契約書の下記条項(以下「本件条項」という。)について、消費者契約法(以下「法」という。)第9条第1号及び第10条(※1)に規定する消費者契約の条項に該当し無効であるとして、本件条項の削除を求めた事案である。

ア 本件条項
 1. 本契約期間内において、前条に基づき甲がその責めに帰すべき事由により契約解除したとき(第5条に定めるクーリング・オフによる解除の場合を除く。以下、「中途解約」という。)は、甲は、乙に対し、催告を要することなく直ちに違約金として(本契約期間月数-既供給期間月数)÷12×30千円(税別)の金額を支払う。(第7条)
 2. 甲及び乙は、本契約の解除に関する通知があった場合においても、LPガス料金、設備の買取り額及び損害賠償額、違約金等の清算が未了の間は、本契約が有効に継続することを確認した。(第8条第2項)
 3. 甲は、甲が中途解約して、新事業者にLPガスの申込みをした場合には、新事業者に第7条に定める違約金の支払い義務があることを説明し、新事業者に『違約金支払いに関する合意書』を締結させる義務を負う。(第8条第3項)

イ 理由
 1. ア-1.は、契約の解除後、鳥取瓦斯産業に生ずると考えられる逸失利益を違約金として消費者が支払う旨の条項であり、解約後は、LPガス供給義務もなく、消費者による鳥取瓦斯産業への損害が生ずるとは考えられないため、解除によって鳥取瓦斯産業に生ずべき平均的な損害を超える定めについて、平均的な損害を超える部分については、法第9条第1号に該当し無効である。
 2. ア-2.は、消費者から鳥取瓦斯産業に契約解除の通知が到達した場合でもLPガス料金等の支払が未了の場合、鳥取瓦斯産業との契約が有効に継続する旨の条項であり、解除通知があったとしても契約を継続させるものとして消費者の解除権を制限している。また、本件条項は消費者の解除の意思表示に反して、契約に定められた利用料等の支払義務を存続させるので、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものである。したがって、本件条項は法第10条に該当し無効である。
 3. ア-3.は、消費者が鳥取瓦斯産業との契約を中途解約して他社にLPガスの申込みをした場合、他社との間で鳥取瓦斯産業に対する違約金の支払がある旨を消費者に説明させ、合意書を締結させる条項であり、消費者の義務を加重するものである。また、消費者が他社と契約する場合に法令上不必要な契約締結義務を消費者に負担させることは、消費者による解約を妨害するおそれがあるから、信義則に反して、消費者の利益を一方的に害するものである。したがって、本件条項は法第10条に該当し無効である。

 (※1)消費者契約法
(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
 一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
 二 [略]
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

注)上記の差止請求が行われた日現在の規定

差止請求根拠条文

消費者契約法第9条第1号、消費者契約法第10条

結果

 消費者ネットおかやまは、令和4年6月9日、鳥取瓦斯産業に対する申入れを開始し、鳥取瓦斯産業により、申入れの趣旨に沿う対応がなされたものとして令和6年7月10日、申入れを終了した。

当該裁判の主たる争点

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参考資料

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判決日・事案終了日

令和6年7月10日

ステータス

終了

適格消費者団体

消費者ネットおかやま

お問い合わせ先

086-230-1316

その他

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消費者庁公表資料

この事案の経過