消費者市民ネットとうほくと株式会社小学館との間で差止請求に関する協議が調ったことについて

差止請求詳細

事業分類

情報通信業

事業者等名

株式会社小学館

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者市民ネットとうほく(以下「消費者市民ネットとうほく」という。)が、株式会社小学館(以下「小学館」という。)に対し、小学館がWEBサイト及びアプリとしてコミック等を提供するデジタル上の漫画サービス「サンデーうぇぶり」の利用規約(以下「本件利用規約」という。)における以下の条項(以下「本件条項」という。)について、消費者契約法(以下「法」という。)第10条(※1)に規定する消費者契約の条項に該当し無効であるとして、下記のとおり本件条項の削除又は改定を求めた事案である。

ア サービスの禁止事項や利用制限等につき小学館に広範な裁量を与える条項 
 本件利用規約第11条第1項の最終項は、「前各号に定めるほか、当社が不適切と判断する行為」(同項最終号)を禁止し、同項に違反した場合には、同条第2項によりサービスの停止やアカウントの削除を含む重い処分を定めている。また、本件利用規約第12条も、「その他、当社が本サービスの利用を適当でないと判断した場合」に、事前の通知なくサービスの全部若しくは一部の利用制限又は登録抹消をすると定められている。サービスの停止やアカウントの削除は、実質的に契約の解除と理解することができるところ、これらの条項は、消費者に債務不履行がなくても、債務不履行のおそれがあれば小学館の判断で解除をすることができるというものにほかならず、法が定める契約解除の規定よりも解除の要件を緩和するとともに、サービスの停止・登録抹消など消費者の利益を一方的に害するものであり、法第10条により無効である。

イ 一方的変更条項
 本件利用規約第3条第1項は、「当社が必要と判断する場合、事前に利用者に通知することなく、いつでも本規約を変更できるものとします。」とし、小学館が、一方的に利用規約を変更できると規定する。本件利用規約は、定型約款(民法第548条の2第1項)に該当するものと考えられるところ、民法では、利用規約の一方的変更については、民法第548条の4に定める要件を満たす場合にしか効力を生じないものとされ、特に利用者の一般の利益に適合する場合以外には厳格な要件が定められている。本件利用規約第3条は、民法第548条の4第1項第2号が定める「契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき」との要件を満たしておらず、消費者の利益を一方的に害するものと評価できるものであり、法第10条により無効である。

(※1)消費者契約法
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

注)上記の差止請求が行われた日現在の規定

差止請求根拠条文

消費者契約法第10条

結果

 消費者市民ネットとうほくは、令和4年3月29日、小学館に対する申入れを開始し、さらに令和5年9月19日、独立行政法人国民生活センター紛争解決委員会に対して和解の仲介を申請したところ、申請の趣旨に沿う対応がなされたものとして、令和6年3月26日、上記申請を取り下げ、申入れを終了した。

当該裁判の主たる争点

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参考資料

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判決日・事案終了日

令和6年3月26日

ステータス

終了

適格消費者団体

消費者市民ネットとうほく

お問い合わせ先

022-727-9123

その他

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消費者庁公表資料

この事案の経過