消費者ネットおかやまとADW株式会社との間で差止請求に関する協議が調ったことについて

差止請求詳細

事業分類

サービス業(他に分類されないもの)

事業者等名

ADW株式会社

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者ネットおかやま(以下「消費者ネットおかやま」という。)が、ADW株式会社(以下「ADW」という。)に対し、①同社のウェブサイト上の不用品の回収又は粗大ごみの処分にかかる役務提供(以下、「本件役務」という。)の料金について、「定額パック」、「定額プラン」又は「追加料金なし」など、本件役務が事前に表示された定額で提供されるものである旨の印象を消費者に与える表示(以下「本件表示」という。)が、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という。)第30条第1項第2号※1の有利誤認表示に該当するとして、当該表示の削除を求め、②消費者に対して本件役務の料金の見積もり金額を提示する前に作業を開始する行為が、消費者契約法第4条第3項第7号※2に該当するとして、ADWの従業員(以下「従業員」という。)及びその受託者に対し、当該行為を行わないよう通知することを求め、さらに③消費者との間で本件役務にかかる契約を締結する際、契約を締結させ、又は申し込みの撤回若しくは解除を妨げるため、見積り料やキャンセル料、違約金の名目で金銭の支払いを求めるなど、消費者を威迫して困惑させる行為が、消費者契約法第4条第3項第8号及び特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第58条の18第1項第3号※3に該当するとして、従業員及びその受託者に対し、当該行為を行わないよう通知することを求めた事案である。

(理由)
ア 上記①について
 本件表示は、目安として表示された容量以内の不用品であれば、表示された金額 で本件サービスを受けることができるとの印象を消費者に与えるものである。
 しかし他方で、本件役務の料金は、従業員ないし受託者が消費者宅を訪問した際に現地で見積もりを行う方法により決定されており、その際、決定された金額の内訳が説明されないことに加えて、ウェブサイト上に表示されている「定額パック」の内容に比して、高額な金額を提示されていたことからすれば、本件表示は、「商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの…よりも取引の相手方に著しく有利であると誤認される表示」(景品表示法第30条第1項第2号)に該当する。
イ 上記②について
 従業員ないし受託者が本件役務を提供するにあたって行う、見積金額の提示前に作業を開始する行為は、消費者が申込み又は承諾の意思表示をする前に、本件サービスの一部または全部を実施することにより、実施前の現状の回復を著しく困難にする行為(消費者契約法第4条第3項第7号)に該当する。
ウ 上記③について
 消費者が本件役務にかかる契約のキャンセルを申し出た際に従業員ないし受託者が、見積り料やキャンセル料、違約金の名目での金銭の支払いを求める行為は、見積もり等の作業が本件役務の提供に伴って当然に生じる準備行為であるにもかかわらず、当該事業活動が当該消費者の為に特に実施したものである旨及びそれにより生じた損失の補償を請求する旨を告げる行為(消費者契約法第4条第3項第8号)に該当する。
 また、従業員ないし受託者が訪問販売の際に行う、消費者が契約の締結のキャンセルを申し出た場合の見積り料やキャンセル料、違約金の名目で金銭を請求する行為は、消費者に不安を生ぜしめて申込みの撤回ないし解約を行いにくくさせ、消費者の判断を惑わせるものであり、第58条の18第1項第3号が禁止する行為に該当する。

(※1)景品表示法
第三十条 消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体(以下この条及び第四十一条において単に「適格消費者団体」という。)は、事業者が、不特定かつ多数の一般消費者に対して次の各号に掲げる行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為が当該各号に規定する表示をしたものである旨の周知その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。
 一 [略]
 二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると誤認される表示をすること。
2・3 [略]

(※2)消費者契約法
(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)
第四条 1・2 [略]
3 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
 七 当該消費者が当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をする前に、当該消費者契約を締結したならば負うこととなる義務の内容の全部又は一部を実施し、その実施前の原状の回復を著しく困難にすること。
 八 前号に掲げるもののほか、当該消費者が当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をする前に、当該事業者が調査、情報の提供、物品の調達その他の当該消費者契約の締結を目指した事業活動を実施した場合において、当該事業活動が当該消費者からの特別の求めに応じたものであったことその他の取引上の社会通念に照らして正当な理由がある場合でないのに、当該事業活動が当該消費者のために特に実施したものである旨及び当該事業活動の実施により生じた損失の補償を請求する旨を告げること。

(※3)特定商取引法
(訪問販売に係る差止請求権)
第五十八条の十八 消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体(以下この章において単に「適格消費者団体」という。)は、販売業者又は役務提供事業者が、訪問販売に関し、不特定かつ多数の者に対して次に掲げる行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、その販売業者又は役務提供事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。
 一・二  [略]
 三 売買契約若しくは役務提供契約を締結させ、又は売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、威迫して困惑させる行為

注)上記の差止請求が行われた日現在の規定

差止請求根拠条文

不当景品類及び不当表示防止法、消費者契約法第4条第3項第7号、消費者契約法第4条第3項第8号、特定商取引法

結果

 消費者ネットおかやまは、令和5年1月23日、ADWに対する申入れを開始し、同社により、申入れの趣旨に沿う対応がなされたものとして令和6年1月11日、申入れを終了した。

当該裁判の主たる争点

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参考資料

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判決日・事案終了日

令和6年1月11日

ステータス

終了

適格消費者団体

消費者ネットおかやま

お問い合わせ先

086-230-1316

その他

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消費者庁公表資料

この事案の経過