消費者市民サポートちばと株式会社ゼクシスとの間で差止請求に関する協議が調ったことについて

差止請求詳細

事業分類

生活関連サービス業,娯楽業

事業者等名

株式会社ゼクシス

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者市民サポートちば(以下「消費者市民サポートちば」という。)が、株式会社ゼクシス(以下「ゼクシス」という。)に対し、同社の運営するフィットネスクラブの会則における以下の各条項について、消費者契約法(以下「法」という。)第8条第1項第1号及び第3号並びに第10条(※)に規定する消費者契約の条項に該当し無効であるとして、本件条項の削除又は変更を求めた事案である。

ア 免責条項
 事業者に故意又は重大な過失がある場合を含め、事業者の債務不履行又は不法行為により生じた責任を全部免除する条項は、法第8条第1項第1号及び第3号に該当し無効である。

イ 会員とビジター利用者の連帯責任条項
 会員の同伴者であるビジター利用者が生じさせた損害について会員が連帯責任を負う条項は、過失責任の原則(民法第709条等)に反しており、また、連帯債務を負うのは、「債務の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担するとき」に限られるから(民法第436条)、性質上可分な責任について当事者の意思表示を要せず連帯債務を負わせることは同条項にも反する。
 したがって、上記条項は、法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し又は義務を加重する条項であって、信義則に反し消費者の利益を一方的に害するものであるから、法第10条に該当し無効である。

ウ 会費の変更条項
 事業者に会費の一方的かつ無制限の変更を認める条項は、会費という契約内容の本質部分に関して、一方的かつ無制限な変更を認めるものであり、契約の拘束力を認めた民法の基本原則に反することは明らかであるため、法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し又は義務を加重する条項であって、信義則に反し消費者の利益を一方的に害するものであるから、法第10条に該当し無効である。

エ 決定事項に関する条項
 施設の利用禁止に関する決定及び入場禁止・除籍に関する決定について、会員等が不服申立てすることを一切認めない条項は、各決定に債務不履行又は不法行為が認められる場合に損害賠償責任を追及することを阻害するものであり、法第8条第1項第1号及び第3号に該当し無効である。

オ 退会方法の制限条項
 退会方法を原則として会員本人(未成年の場合は保護者含む)の来所に限定した上、「やむを得ない理由」により来場が困難な場合にのみ、代理による退会の届出を認める条項は、解除の方法について何ら制限していない民法第540条に比して、消費者の権利を制限し又は義務を加重する条項であって、かつ、本来、契約の解除は電話、郵送、FAX、Eメール等の方法でも認められるものであるから、信義則に反し消費者の利益を一方的に害するものであり、法第10条に該当し無効である。

(※)消費者契約法
(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)
第八条 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項

二 [略]
三 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
四 [略]
2 [略]
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。


注)上記の差止請求が行われた日現在の規定

差止請求根拠条文

消費者契約法第8条第1項第1号、消費者契約法第8条第1項第3号、消費者契約法第10条

結果

 消費者市民サポートちばは、令和5年1月6日、ゼクシスに対する申入れを開始し、同社により申入れの趣旨に沿う対応がなされたものとして、令和5年11月9日、申入れを終了した。

当該裁判の主たる争点

-

参考資料

-

判決日・事案終了日

令和5年11月9日

ステータス

終了

適格消費者団体

消費者市民サポートちば

お問い合わせ先

043-239-6037

その他

-

消費者庁公表資料

この事案の経過