消費者ネットおかやまと健康美人研究所株式会社との間で差止請求に関する協議が調ったことについて

差止請求詳細

事業分類

卸売業,小売業

事業者等名

健康美人研究所株式会社

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者ネットおかやま(以下「消費者ネットおかやま」という。)が、健康美人研究所株式会社(以下「健康美人研究所」という。)に対し、健康美人研究所が運営するホームページの広告における表示(以下「本件表示」という。)について、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という。)第30条第1項第1号又は第2号(※1)に定める表示、消費者契約法第4条第1項第1号及び第2項(※2)並びに特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第58条の19(※3)に該当するものとして、下記のとおり当該表示による広告を行わないよう求めた事案である。

(本件表示)
1 健康美人研究所が自ら設定した通常価格を希望小売価格として比較対照価格に用いる表示
2 定期購入契約について、お届け日の2週間前までに電話で連絡することでいつでも解約できる旨の表示
3 初回の商品の解約ができる旨の表示や定期購入ではないかのような表示

(理由)
1 上記1の表示は、根拠なく任意に設定した通常価格を比較対照価格として用いており、商品の価格について、実際のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認させる表示であり、不当に顧客を誘引し、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのあるものであり、景品表示法第30条第1項第2号の有利誤認表示に該当する。
2 上記2の表示は、実際は、消費者が解約のために電話をかけても電話がつながらず、いつでも健康美人研究所に対し解約の意思表示ができる状況ではないにもかかわらず、契約解除に関する事項という重要事項について、事実と異なることを告げており、消費者が当該告げられた内容が事実であると誤認し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしていることになり、消費者契約法第4条第1項第1号に該当する。
 また、健康美人研究所が契約の締結について勧誘するに際し、消費者に対して、契約解除に関する事項という重要事項について、お届け日の2週間前であればいつでも解約できるという消費者の利益になる旨を告げ、かつ、この重要事項について実際は電話がつながらないため、いつでも解約の意思表示ができる状況ではないという消費者の不利益になる事実を故意又は重大な過失によって告げなかったことにより、消費者が当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしていることになり、消費者契約法第4条第2項に該当する。
 加えて、上記2の表示は、役務の品質、規格、その他の内容について、一般消費者に対して、実際のものよりも著しく優良であることを示すものであり、不当に顧客を誘引し、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあるものといえ、また、契約の解約という取引条件において、実際は、電話がつながらず、いつでも解約できる状態ではないにもかかわらず、いつでも解約できる旨の表示を行い、役務の対価その他の取引条件を実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認させる表示であり、不当に顧客を誘引し、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのあるものであり、景品表示法第30条第1項第1号の優良誤認表示及び第2号の有利誤認表示に該当する。
3 上記3の表示は、実際には初回の商品の解約は不可であるにもかかわらず、初回の商品の解約が可能であるかのような表示及び実際は定期購入であるにもかかわらず、定期購入ではないかのような表示をしているものであり、契約の解除に関する事項及びその他の販売条件について、著しく事実と相違する表示であり、特定商取引法第58条の19に違反する。

 (※1)景品表示法
第三十条 消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体(以下この条及び第四十一条において単に「適格消費者団体」という。)は、事業者が、不特定かつ多数の一般消費者に対して次の各号に掲げる行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為が当該各号に規定する表示をしたものである旨の周知その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。
 一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると誤認される表示をすること。
 二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると誤認される表示をすること。
2・3 [略]

 (※2)消費者契約法
(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)
第四条 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。 
 一 重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
 二 [略]
2 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意又は重大な過失によって告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。
3~6 [略]

 (※3)特定商取引法
(通信販売に係る差止請求権)
第五十八条の十九 適格消費者団体は、販売業者又は役務提供事業者が、通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするに際し、不特定かつ多数の者に対して当該商品の性能若しくは当該権利若しくは当該役務の内容又は当該商品若しくは当該権利の売買契約の申込みの撤回若しくは解除に関する事項(第十五条の三第一項ただし書に規定する特約がある場合には、その内容を含む。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると誤認させるような表示をする行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、その販売業者又は役務提供事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。

注)上記の差止請求が行われた日現在の規定

差止請求根拠条文

不当景品類及び不当表示防止法、消費者契約法第4条第1項第1号、消費者契約法第4条第2項、特定商取引法

結果

 消費者ネットおかやまは、令和3年6月10日、健康美人研究所に対する申入れを開始し、健康美人研究所により申入れの趣旨に沿う対応がなされたものとして、令和6年3月13日、申入れを終了した。

当該裁判の主たる争点

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参考資料

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判決日・事案終了日

令和6年3月13日

ステータス

終了

適格消費者団体

消費者ネットおかやま

お問い合わせ先

086-230-1316

その他

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消費者庁公表資料

この事案の経過