消費者機構日本と株式会社IBJとの間の訴訟に関する訴えの取下げについて

差止請求詳細

事業分類

生活関連サービス業,娯楽業

事業者等名

株式会社IBJ

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者機構日本(以下「原告」という。)が、インターネットを利用した異性紹介サービス業(いわゆるマッチングサービス)を業とする株式会社IBJ(以下「被告」という。)に対し、被告が「ブライダルネット」の名称にて、消費者との間においてインターネットを利用して結婚相手の候補となる異性の情報を提供する契約(以下「本件契約」という。)を締結するに際して用いる利用規約における中途解約を認めない条項(以下「本件条項」という。)が、消費者契約法(以下「法」という。)第10条(※1)に規定する消費者契約の条項に該当し無効であるとして、被告に対し、①本件契約において消費者の中途解約を認めない旨の意思表示を行うことの差止め、②上記①の内容が記載された契約書、約款その他一切の表示の破棄、③被告の従業員らに対し、上記①の意思表示を行ってはならないこと及び上記①の内容が記載された契約書、約款その他一切の表示を破棄すべきことを周知徹底させる措置を求めた事案である(令和4年4月18日付けで東京地方裁判所に対して訴訟を提起)。

(本件条項)
第15条 任意のアカウント削除及びコース変更等
1.メンバーがアカウント削除を希望する場合は、先にビジターヘのコース変更手続きを行う必要があります。クレジットカード決済によりメンバー登録をした会員がビジターヘのコース変更を希望する場合、メンバー期間満了日の前日18時までに担当婚シェルヘの連絡、もしくは事務局への連絡(問い合わせ窓口、メール)で申出を行い、発行された当社所定の退会フォームに記入の上、当社に通知するものとし、当該通知が当社に到達後のメンバー期間満了日をもってコース変更となります。
(例:満了日が1月10日の場合、1月9日18:00までに申出、1月10日23:59までに通知が必要)
アプリ内課金によりメンバー登録をした会員がビジターヘのコース変更をする場合、継続課金の自動更新設定をオフにすることで、メンバー期間満了日をもってコース変更となります。

(請求の原因の概要)
 本件契約は準委任契約であり、民法上、各当事者がいつでも解除をすることができるところ(民法第656条及び第651条第1項)、本件条項は、選択したプランのメンバー期間中は中途解約できない旨を定めるものであり、民法の規定による場合に比べて消費者の権利を制限するものであり、かつ、中途解約の制限によって消費者に得られる利益は何らなく、他方で被告において、消費者の退会申出(解約申入れ)の時期に応じた適切な精算条項を定め、精算に応じることは、被告に多大な負担を強いるものであるとは考えられず、ビジターヘのコース変更申出を受け付けてもメンバー期間中は解除の効力発生を認めないというのは、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する規定であり、法第10条に規定する消費者契約の条項に該当し無効である。

(※1)消費者契約法
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

(注)上記の訴訟が提起された日現在の規定

差止請求根拠条文

消費者契約法第10条

結果

 原告は、被告が本件条項の改定を行うことを確認したため、令和6年4月8日、訴えを取り下げた。

当該裁判の主たる争点

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参考資料

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判決日・事案終了日

令和6年4月8日

ステータス

終了

適格消費者団体

消費者機構日本

お問い合わせ先

03-5212-3066

その他

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消費者庁公表資料

この事案の経過