消費者被害防止ネットワーク東海と株式会社Bridal Lとの間で差止請求に関する協議が調ったことについて

差止請求詳細

事業分類

生活関連サービス業,娯楽業

事業者等名

株式会社Bridal L

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者被害防止ネットワーク東海(以下「消費者被害防止ネットワーク東海」という。)が、株式会社Bridal L(以下「Bridal L」という。)に対し、下記のとおり、同社が運営する結婚式・披露宴における規約中の下記条項について、下記の理由により、消費者契約法(※)に規定する消費者契約の条項に該当し無効であるとして、修正又は削除を求めた事案である。

(対象条項)
ア 取消料に関する規定
 解約に係る条項中、①「申込完了後、解約をなさる場合はいかなる理由においても次に定めるお取消料を頂戴いたします。」との文及び②「すでに発注や手配が完了している別注品をお取消される場合も、上記表に記載のパーセンテージで起算した料金を頂戴いたします。」との文で定める取消料。
 【取消料の定め】

挙式・披露宴日までの日時 

取消料

ご成約日~150日前まで

申込金+¥50,000

149日前~120日前まで

申込金+最終お見積金額の20%

119日前~90日前まで

申込金+最終お見積金額の30%

89日前~30日前まで

申込金+最終お見積金額の50%

29日前~11日前まで

申込金+最終お見積金額の80%

10日前~当日

申込金+最終お見積金額の100%

イ 免責条項

 ①休止に係る条項における「延期や中止における損害賠償など、金銭のお支払いは出来かねますので、ご了承ください。」との文、②施設内における盗難・事故に係る条項における「施設内で発生した盗難や事故につきましては、責任を負いかねますので、お客様においてご注意ください。」との文及び③修繕・改装・仕様変更に係る条項における「また、損害賠償など金銭のお支払も出来かねますのでご了承ください。」との文。
 また、②の条項の修正の申入れに対してBridal Lが回答した④「施設内で発生した盗難や事故につきましては、当社の故意または重大な過失がある場合を除き、当社は一切責任を負いませんので、お客様において十分ご注意ください。」との文及び③の条項の修正の申入れに対してBridal Lが回答した⑤「また修繕・改装・各種仕様変更を行った際に、当社の故意または重大な過失により、お申込者様に損害が生じた場合を除き、賠償など金銭のお支払も出来かねますのでご了承ください。」との文。


(理由)
ア 消費者契約において、契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるものは、その超える部分が無効となる(消費者契約法第9条第1号)。
 平均的な損害の内訳としては逸失利益と実費相当額が考えられるところ、Bridal Lが再販売により代替的な利益を確保することが可能な時期の解除の場合、再販売により補填が見込まれる逸失利益は平均的な損害には含まれない。また、解除により同社が挙式披露宴の全部又は一部を実施しない場合に支出を免れた実費は平均的な損害には含まれない。
 しかし、上記アの条項のうち、再販売が十分に見込まれる時期にもかかわらず申込料全額(15万円)及び5万円を一律に取消料に含めている部分はBridal Lの逸失利益を超える金額が含まれていると考えられる。また、実費全額が支出されると通常考えられない時期の取消料に見積金額の100%相当額が含まれている部分には支出を免れた実費が含まれていると考えられる。よって、当該部分はBridal Lに生ずべき平均的な損害の額を超えるものとして、消費者契約法第9条第1号に反し無効となる。
 さらに、Bridal Lに生ずべき平均的な損害は特段の事情のない限り見積金額が上限となるところ、申込金は内金として見積金額に含まれているため、挙式・披露宴日の10日前から当日までの取消料は申込金額の分だけ見積金額を超えることは明らかである。よって、当該部分はBridal Lに生ずべき平均的な損害の額を超えるものとして、消費者契約法第9条第1号に反し無効となる。
 加えて、挙式・披露宴日の149日前から11日前の取消料についても、見積金額は申込金額を含んだ金額になっているにもかかわらず、見積金額の一定割合とは別に申込金額を含める根拠が不明であり、Bridal Lに生ずべき平均的な損害の額を超えていることが疑われる。なお、公益社団法人日本ブライダル文化振興協会がウェブサイトで公開している「結婚式場・披露宴会場におけるモデル約款」では、見積金額の一定割合を解約料金に含める場合には更に申込金相当額を含めることとはしていない。


イ 契約当事者の一方がその債務を履行しない場合には、原則として契約を解除することができ(民法第541条)、解除した部分に係る債権・債務は消滅する。また、契約当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる(民法第536条第1項)。ところが、上記アの条項①によれば商品又はサービスの全部又は一部を提供できなくなったことについて顧客の責めに帰すべき事由がない場合にも、顧客は当該契約を解除しても代金支払債務を負担することになる。
 そのため、上記アの条項①は消費者契約法第10条に反し無効である。


ウ 消費者契約において事業者の債務不履行又は不法行為による損害賠償責任の全部を免除する旨の条項は無効となる(消費者契約法第8条第1項第1号及び第3号)。
 上記イの条項①②③は、Bridal Lの債務不履行又は不法行為によって披露宴会場の使用不能等が発生し、顧客に損害が生じた場合でも損害賠償責任を全部免除するものであり、消費者契約法第8条第1項第1号及び第3号に反し無効である。
 また、消費者契約法では事業者の債務不履行等に基づく損害賠償責任について、軽過失の場合の一部免除条項が許容されているだけであり、軽過失の場合の全部免除条項は無効となる(消費者契約法第8条第1項第1号又は第3号)ことから、上記イの条項④⑤は、消費者契約法第8条第1項第1号又は第3号に反し無効である。


(※)消費者契約法
(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)
第八条 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
二 〔略〕
三 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
四 〔略〕
2 〔略〕
(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効) 
第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
二 〔略〕
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
注)上記の差止請求が行われた日現在の規定

差止請求根拠条文

消費者契約法第8条第1項第1号、消費者契約法第8条第1項第3号、消費者契約法第9条第1号、消費者契約法第10条

結果

 Bridal Lは、令和3年4月17日に、消費者被害防止ネットワーク東海に対し、本件規定を変更する旨を連絡した。
 これを受けて、令和3年5月25日、消費者被害防止ネットワーク東海は、申入れの趣旨に沿った改定がなされたものとして、申入れを終了した。

当該裁判の主たる争点

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参考資料

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判決日・事案終了日

令和5年5月25日

ステータス

終了

適格消費者団体

消費者被害防止ネットワーク東海

お問い合わせ先

052-734-8107

その他

-

消費者庁公表資料

この事案の経過