消費者被害防止ネットワーク東海と有限会社ワンラブとの間の差止請求に関する協議が調ったことについて

差止請求詳細

事業分類

卸売業,小売業

事業者等名

有限会社ワンラブ

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者被害防止ネットワーク東海(以下「消費者被害防止ネットワーク東海」という。)が、有限会社ワンラブ(以下「ワンラブ」という。)に対し、同社の生体販売契約書等の各条項(以下「本件条項」という。)について、以下のとおり消費者契約法(以下「法」という。)第8条第1項第1号、同項第3号、第8条の2及び第10条(※)により無効であるとして本件条項の使用差止等を求めた事案である。

ア 免責条項及び解除権を放棄させる条項
 生体販売契約後又は引渡後、消費者は、返品、交換及び一切の金銭請求ができないとする条項は、消費者のワンラブに対する債務不履行及び不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を認めず、また、ワンラブの債務不履行による契約解除権の行使を認めない趣旨の条項であるから、法第8条第1項第1号、同項第3号及び第8条の2に該当し無効である。
イ 契約不適合責任を制限する条項
 民法上の契約不適合責任を、発覚から3日以内に連絡がなかった場合に制限する旨の条項は、民法第566条本文の適用に比して消費者の権利を制限する条項である。かつ、病気による死亡や先天性疾患の存在という事実は,獣医の検査・診断等により客観的に明らかな事実であり,発覚から3日間という極めて短期間に制限しなければならない合理的な理由は見いだせず,かつ,ペットの死亡や先天性疾患という消費者にとって極めて精神的負担の大きい出来事から短期間で事業者に連絡することを求めることは酷というべきであり、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるから、法第10条に該当し無効である。

(※)消費者契約法
(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)
第八条 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
 一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
 二 [略]
 三 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
 四 [略]
2 [略]

(消費者の解除権を放棄させる条項等の無効)
第八条の二 事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させ、又は当該事業者にその解除権の有無を決定する権限を付与する消費者契約の条項は、無効とする。

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
(注)上記差止請求が行われた日現在の規定

差止請求根拠条文

消費者契約法第8条第1項第1号、消費者契約法第8条第1項第3号、消費者契約法第8条の2、消費者契約法第10条

結果

 消費者被害防止ネットワーク東海は、令和2年6月16日、ワンラブに対する申入れを開始し、同社により申入れの趣旨に沿う対応がなされたものとして、令和5年12月19日、申入れを終了した。

当該裁判の主たる争点

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参考資料

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判決日・事案終了日

令和5年12月19日

ステータス

終了

適格消費者団体

消費者被害防止ネットワーク東海

お問い合わせ先

052-734-8107

その他

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消費者庁公表資料

この事案の経過