消費者支援機構福岡とPayPayドームリレーマラソン2023大会事務局との間の差止請求に関する協議が調ったことについて

差止請求詳細

事業分類

生活関連サービス業,娯楽業

事業者等名

ヤフオク(PayPay)ドームリレーマラソン2019大会事務局

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者支援機構福岡(以下「消費者支援機構福岡」という。)が、ヤフオクドームリレーマラソン2019大会事務局(現「PayPayドームリレーマラソン2023大会事務局」)に対し、マラソン大会の申込規約の各条項(以下「本件条項」という。)について、以下のとおり消費者契約法(以下「法」という。)第8条第1項各号及び第10条(※)により無効であるとして、本件条項の削除又は変更を求めた事案である。

(本件条項)
ア 第1項
 自己都合による申し込み後の種目変更、キャンセル不可及び過剰入金・重複入金の返金を行わないことを了承します。
イ 第2項
 地震・風水害・降雪・事件・事故・疾病等による開催縮小・中止、参加料返金の 有無・額、通知方法等についてはその都度主催者の判断に従います。
ウ 第6項
 大会開催中の事故、紛失、傷病等に関し、主催者の責任を免除し、損害賠償等請求は行いません。補償は大会側が加入した保険の内容の範囲内であることを了承します。

(理由)
 本件条項のうち、第1項は、不当利得の返還義務を定めた民法第703条の適用による場合に比して消費者の権利を制限するものであり、かつ、過剰又は重複入金の返還義務を否定すべき合理的理由もないことから、消費者の利益を一方的に害するものであるため、法第10条による無効である。
 本件条項のうち、第2項は、危険負担の債務者主義を定めた民法第536条の適用による場合に比して消費者の権利を制限するものであり、かつ、参加料の返還を否定すべき合理的理由もないことから、消費者の利益を一方的に害するものであるため、法第10条による無効である。
 本件条項のうち、第6項前段は、主催者の負う債務不履行責任又は不法行為責任の全部を免除するものであり、法第8条第1項第1号及び同項第3号により無効である。また、第6項後段は、主催者の故意又は重過失による場合を含め、主催者の負う債務不履行又は不法行為責任を一部免除するものであり、法第8条第1項第2号及び同項第4号により無効である。

(※)消費者契約法
(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)
第八条 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
 一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
 二 事業者の債務不履行(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し、又は当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項
 三 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
 四 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し、又は当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項
2 [略]

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

(注)上記差止請求が行われた日現在の規定

差止請求根拠条文

消費者契約法第8条第1項第1号、消費者契約法第8条第1項第2号、消費者契約法第8条第1項第3号、消費者契約法第8条第1項第4号、消費者契約法第10条

結果

 消費者支援機構福岡は、令和元年7月26日、ヤフオクドームリレーマラソン2019大会事務局に対する申入れを開始し、同事務局より、2019年度大会については申入れの趣旨に準じた対応をすること、次年度以降の大会については条項の改正を検討する旨回答があった。
 その後、消費者支援機構福岡において、ヤフオクドームリレーマラソンの開催が確認できていなかったところ、PayPayドームリレーマラソン2023の開催予定が確認できたため、令和5年7月20日、同大会事務局に対し、再度同趣旨の申入れをしたところ、申入れの趣旨に沿う対応がなされたものとして、令和5年10月18日、申入れを終了した。

当該裁判の主たる争点

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参考資料

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判決日・事案終了日

令和5年10月18日

ステータス

終了

適格消費者団体

消費者支援機構福岡

お問い合わせ先

092-292-9301

その他

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消費者庁公表資料

この事案の経過