埼玉消費者被害をなくす会と株式会社ピーシーデポコーポレーションとの差止請求に関する協議が調ったことについて

差止請求詳細

事業分類

卸売業,小売業

事業者等名

株式会社ピーシーデポコーポレーション

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人埼玉消費者被害をなくす会(以下「埼玉消費者被害をなくす会」という。)が、パーソナルコンピュータ及び携帯電話等の販売並びに技術サポート等を行う株式会社ピーシーデポコーポレーション(以下「ピーシーデポコーポレーション」という。)に対し、主に以下のとおり申し入れた事案である。

① 平成27年10月19日の申入れの概要
 ピーシーデポコーポレーションが消費者との間で使用するスマートフォンの売買及びスマートフォン利用のサポートに関する役務の提供に関する契約(以下「本契約」という。)に係る契約書面の解約金条項(以下「本件解約金条項」という。)について、以下の理由から、その修正を求める。
 ア ピーシーデポコーポレーションは、解約金について、36か月の最低利用期間経過前に解約があった際に生じる損害相当分を請求するものであると説明しながら、本件解約金条項は、36か月経過後も、更新月を除き、損害賠償請求がなされる内容となっている。したがって、消費者契約法第9条第1号(※1)に規定する消費者契約の条項に該当する。
 イ 本件解約金条項には、いわゆる解約月の定めがあり、解約月以外の月に解約した場合には解約料が発生することとされているところ、i)本契約のうち役務の提供に関する契約の法的性質は準委任契約で、いつでも解約できるものであり、解約月の定めを設けて消費者を解約料で縛ることに合理的な理由は考えられない。したがって、消費者契約法第10条(※1)に規定する消費者契約に該当する。また、ⅱ)特定の解約月以外に解約したことによって発生する損害があるとは考えられないため、同法第9条第1号(※1)に規定する消費者契約の条項にも該当する。

 (※1)消費者契約法
(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
 一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
 二 〔略〕
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 民法、商法(明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
(注)上記の差止請求が行われた日現在の規定

② 平成28年6月10日の申入れの概要
 ピーシーデポコーポレーションが使用する広告における表示について、以下の理由から、その使用停止又は適切な表示への修正を求める。

 ア 次のⅰ)及びⅱ)の表示は、実際には、消費者が、月々6,990円でiPhone SEのサービス又は月々7,990円でiPhone 6Sのサービスを利用するためには、iPhone SE又はiPhone 6Sだけではなくピーシーデポコーポレーション指定のトータルサービスに加入しなければならないことに加え、別途契約事務手数料の負担があること、3年間の契約であり更新月以外の解約の場合には契約解除料がかかることなど、表示された月額料金のほかに購入者が負担しなければならない費用があるにもかかわらず、その費用の総額が明示されていないため、当該広告表示を見た一般消費者たる購入者に、iPhone 6Sに機種変更をすることにより、月々6,990円又は月々7,990円で全てのサポート及びサービスを受けられるとの誤解を生じさせる表示である。また、下部に限定条件が表示されているが、その文字は、「\6,990」又は「7,990円」の表示が高さ2センチメートルで表示されているのに対して、高さわずか2ミリメートル弱で表示されている。このように価格を安くする旨の表示と比較して著しく小さな文字で限定条件を表示することは、価格の有利性をことさらに強調する表示である。したがって、次のⅰ)及びⅱ)の表示は、一般消費者たる購入者に、自己の販売価格が実際のものよりも著しく有利であるとの誤認を与える表示に当たり、不当景品類及び不当表示防止法第30条第1項第2号(※2)に規定する有利誤認表示に該当する。
 イ 次のⅲ)の表示は、実際には、消費者が、各商品を通常料金よりも安い価格(iPad Proが月々1,700円、MacBook Airが月々2,200円等)で利用するためには、iPhoneと同時にオプションとして購入するだけでなく、3年間の継続利用が必要であり途中解約ができないこと、契約事務手数料が別途かかることなど、購入者が負担しなければならない費用があるにもかかわらず、その費用の総額が表示されていないため、当該広告表示を見た一般消費者たる購入者に、各商品をiPhoneと同時に購入することにより必ず通常料金より安い価格で利用できるとの誤認を生じさせる表示である。また、上記金額表示の下部にこれらの負担に関する記述があるが、その文字は、各商品の価格が高さ5ミリメートルで表示されているのに対して、高さわずか2ミリメートル弱で表示されている。このように価格を安くする旨の表示と比較して著しく小さな文字で限定条件を表示することは、価格の有利性をことさらに強調する表示である。したがって、次のⅲ)の表示は、一般消費者たる購入者に、自己の販売価格が実際のものよりも著しく有利であるとの誤認を与える表示に当たり、不当景品類及び不当表示防止法第30条第1項第2号(※2)に規定する有利誤認表示に該当する。
 ⅰ) 「NEW iPhone SE」「機種変更 月々(税別)\6,990」との表示及び「安心サポート付 本体代金・インターネット・メール・パケット通信料・通話基本料金・継続サポート全部込み」との表示
 ⅱ) 「iPhone 6S」「機種変更 月々(税別)\7,990」との表示及び「安心サポート付 本体代金・インターネット・メール・パケット通信料・通話基本料金・継続サポート全部込み」との表示
 ⅲ) 「iPhone同時購入オプション」の5つの商品に関する金額の表示


(※2)不当景品類及び不当表示防止法
第三章 適格消費者団体の差止請求権等
第三十条 消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体(以下この条及び第四十一条において単に「適格消費者団体」という。)は、事業者が、不特定かつ多数の一般消費者に対して次の各号に掲げる行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為が当該各号に規定する表示をしたものである旨の周知その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。
 一 〔略〕
 二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると誤認される表示をすること。
2・3 〔略〕
(注)上記の差止請求が行われた日現在の規定

差止請求根拠条文

消費者契約法第9条第1号、消費者契約法第 10 条、不当景品類及び不当表示防止法

結果

 平成29年12月15日、ピーシーデポコーポレーションは、埼玉消費者被害をなくす会に対し、(1)の申入れに係る本契約に関するサポートプランの改定について連絡した。
 これを受けて、平成30年2月9日、埼玉消費者被害をなくす会は、申入れの趣旨に沿う内容の改善がなされたものとして、申入れを終了した。

当該裁判の主たる争点

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参考資料

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判決日・事案終了日

令和30年2月9日

ステータス

終了

適格消費者団体

埼玉消費者被害をなくす会

お問い合わせ先

048-844-8972

その他

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消費者庁公表資料

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この事案の経過