とちぎ消費者リンクと第一三共ヘルスケアダイレクト株式会社との間の差止請求に関する協議が調ったことについて

差止請求詳細

事業分類

卸売業,小売業

事業者等名

第一三共ヘルスケアダイレクト株式会社

事案の内容

本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人とちぎ消費者リンク(以下「とちぎ消費者リンク」という。)が、第一三共ヘルスケアダイレクト株式会社(以下「第一三共ヘルスケアダイレクト」という。)に対し、第一三共ヘルスケアダイレクトが使用する利用規約の条項(以下「本件条項」という。)について消費者契約法第10条(※1)に規定する消費者契約の条項に該当し無効であるとして本件条項の修正又は削除を求めるとともに、第一三共ヘルスケアダイレクトの通販サイトにおける最終確認画面の表示(以下「本件表示」という。)について特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第58条の19第3号(※2)に基づいて表示の停止を求めた事案である。

(本件条項)
① 第一三共ヘルスケアダイレクトが利用者への事前通知、承諾なしに利用規約を変更できる旨を定める条項
② 第一三共ヘルスケアダイレクトに帰責事由があったとしても、逸失利益及び特別損害について免責対象とする旨を定める条項
③ 利用者による規約違反行為によって、損害賠償義務が発生し、その請求回収に第一三共ヘルスケアダイレクトが弁護士を用いた場合の費用を、弁護士報酬規定に基づき利用者の負担とする旨を定める条項
(本件表示)
 注文内容欄には初回金額のみが記載され、2回目以降の金額・数量については別途「ご注文とご利用規約について」の欄にのみ記載されている表示

(理由)
ア 民法第548条の4は、個別的合意によらず定型約款準備者が定型約款の変更をすることに一定の要件を定めているところ、本件条項①は第一三共ヘルスケアダイレクトに限定のない一方的な規約の変更権を与えるものであり、法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は義務を加重する条項である。また、本件条項①は、消費者にとって不利益変更となる場合でも、極めて広範な裁量権を第一三共ヘルスケアダイレクトに留保する規定であって、消費者が予期しない不利益変更により不測の損害を被る可能性があることから、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものといえる。そのため、本件条項①は、消費者契約法第10条に該当し、無効である。

イ 民法第416条第1項によれば、通常損害の範囲内であれば逸失利益も債務不履行を原因とする損害賠償義務の範囲から除外されず、同条第2項は「特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。」と定めている。
 本件条項②は、逸失利益について制限なく免責対象としており、第一三共ヘルスケアダイレクトに帰責事由がある場合であっても逸失利益について免責対象としている。加えて、本件条項②は、特別損害について、予見の有無にかかわらず消費者に生じた損害の賠償義務を負わないことも定めており、第一三共ヘルスケアダイレクトに帰責事由がある場合の特別損害についても免責対象としている。
 そのため、本件条項②は、法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は義務を加重する条項であり、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものといえることから、消費者契約法第10条に該当し、無効である。

ウ 契約は当事者間の合意によって成立するものであり、仮に事業者が弁護士との間で委任契約を締結したとしても消費者と弁護士との間には何の契約関係も成立せず、消費者が弁護士費用を負担すべき理由はない。また、金銭の給付を目的とする債務不履行に基づく損害賠償請求では、民法第419条第1項により定められた法定利率を超えた損害の賠償を請求できないと解されている。
 本件条項③は、法律上の原因がないにもかかわらず第一三共ヘルスケアダイレクトが依頼した弁護士の費用を消費者に負担させる、又は法定利率を超えた損害賠償の支払いを求めるものと解される。
 そのため、本件条項③は、法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は義務を加重する条項であるといえる。そして、弁護士報酬規定に基づき費用を請求するとされているものの、消費者には弁護士報酬規定が明らかではなく不測の損害を被る可能性があり、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものといえることから、本件条項③は、消費者契約法第10条に該当し、無効である。

エ 本件表示について、第一三共ヘルスケアダイレクトの通信販売サイトで広告がなされている当該商品の売買契約は消費者が解約を申し出るまで定期的に商品の引き渡しがなされる無期限の定期購入契約に該当するところ、最終確認画面の「◆注文内容◆」の部分には、初回1袋1,800円の記載しかなく、「◆配送方法◆」の部分には、【定期コース】60日コース(2回目のみ30日後にお届け)との記載があるものの、2回目以降の金額の記載がない。また、2回目以降の金額は、「◆ご注文とご利用規約について◆」の欄に記載があるものの、消費者がスクロールして内容を確認しなければ表示されない上、文字が詰まっていることから、2回目以降は購入数量が2袋に変更されることについて消費者が認識できないおそれがある。
 そのため、本件表示は、消費者において2回目以降も1袋ごとの購入であるとの誤認や、初回と同程度の金額での購入であるとの誤認を生じさせるおそれがあり、商品の分量や販売価格につき人を誤認させるような表示といえ、特定商取引法第58条の19第3号ロに該当する。

(※1)消費者契約法
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

(※2)特定商取引に関する法律(特定商取引法)
(通信販売に係る差止請求権)
第五十八条の十九 適格消費者団体は、販売業者又は役務提供事業者が、通信販売に関し、不特定かつ多数の者に対して次に掲げる行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、その販売業者又は役務提供事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。
 一・二 [略]
 三 特定申込みに係る書面又は手続が表示される映像面において、次に掲げる事項につき、人を誤認させるような表示をする行為
  イ 当該書面の送付又は当該手続に従った情報の送信が通信販売に係る売買契約又は役務提供契約の申込みとなること。
  ロ 第十二条の六第一項各号に掲げる事項
 四 [略]

注)上記の差止請求が行われた日現在の規定

差止請求根拠条文

消費者契約法第10条、特定商取引法

結果

とちぎ消費者リンクは、令和7年10月27日、第一三共ヘルスケアダイレクトに対する申入れを開始し、第一三共ヘルスケアダイレクトにより申入れの趣旨に沿う対応がなされたものとして、令和8年2月19日、申入れを終了した。

当該裁判の主たる争点

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参考資料

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判決日・事案終了日

令和8年2月19日

ステータス

終了

適格消費者団体

とちぎ消費者リンク

お問い合わせ先

028-678-8000

その他

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消費者庁公表資料

とちぎ消費者リンクと第一三共ヘルスケアダイレクト株式会社との間の差止請求に関する協議が調ったことについて

この事案の経過