なら消費者ねっとと株式会社心整体との間の差止請求に関する協議が調ったことについて

差止請求詳細

事業分類

医療,福祉

事業者等名

株式会社心整体

事案の内容

本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人なら消費者ねっと(以下「なら消費者ねっと」という。)が、株式会社心整体(以下「心整体」という。)に対し、心整体が経営する心整体院グループの各店舗のホームページにおける広告表示(以下「本件表示」という。)が優良誤認表示に該当するとして、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という。)第34条第1項第1号(※1)に基づいて本件表示の停止及び削除を求めるとともに、心整体が利用するキャンセルポリシーにおける条項(以下「本件条項」という。)が消費者契約法第10条(※2)に規定する消費者契約の条項に該当していることから、同法第12条第3項に基づき本件条項の削除を求めた事案である。

(本件表示)
① 医学的には原因が不明である等とされている疾病や症状について疾病や症状の原因を断定する表示及び心整体が提供する施術を受ければこれらの疾病や症状が改善する旨の表示
② 心整体で施術を受けることによって、今まで治らなかった疾病や症状が簡単に完治したかのような体験談の表示
③ 医師が心整体のサービスを絶賛し推薦している旨の表示
(本件条項)
 回数券を購入した顧客に一切の返金を認めない旨を定める条項

(理由)
ア 本件表示①について、医学的には原因が不明とされている疾病や症状について原因を断定した上で、心整体が提供する施術を受ければそれらの疾病や症状が改善する旨の表示がなされている。しかし、疾病や症状の原因を断定する表示に医学的根拠はなく、提供する施術の効果についてもそれを裏付ける合理的な根拠を示す資料やデータが全く示されていない。そのため、同表示は、施術内容について一般消費者に対し実際のものよりも著しく優良であると示すことにより不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある表示といえ、優良誤認表示に該当する。

イ 本件表示②について、施術を受けたとされる客の体験談を掲載することで、あたかも心整体で施術を受けることによって、今まで治らなかった疾病や症状が簡単に完治したかのような表示がなされている。しかし、そのような効果を裏付ける合理的な根拠を示す資料やデータが示されていないことに加え、体験談を掲載するにあたり心整体が施術を施した患者の数及びその属性、体験談と同じような効果が得られた者が占める割合、体験談と同じような効果が得られなかった者が占める割合等も示されていない。そのため、一般消費者に対し実際のものよりも著しく優良であると示すことにより不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある表示といえ、優良誤認表示に該当する。

ウ 本件表示③について、心整体のホームページにおいて医師が心整体のサービスを絶賛し推薦している旨の表示がなされているが、医師として表示されている者が医師であることを示す客観的な根拠が示されていない。また、仮にその者が医師であったとしても、心整体が提供する施術の効果を裏付ける合理的な根拠が全く示されていない。そのため、一般消費者に対し実際のものよりも著しく優良であると示すことにより不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある表示といえ、優良誤認表示に該当する。

エ 本件条項について、「回数券購入後の返金は、いかなる場合でも一切受け付けておりません。」と定め、回数券を購入した顧客に対して中途解約及び返金を一切認めていない。しかし、回数券の販売の形式をとっていたとしても、整体院で施術を受ける契約は準委任の性質を有する契約といえることから、民法上はいつでも解除することができるところ(民法第656条、第651条第1項)、本件条項は、民法の規定に比して消費者の権利を制限する消費者契約の条項といえる。そして、一度消費者が回数券を購入してしまうと中途解約を一切不可とされ、返金を受けることができなくなる旨を定める条項は、民法第1条第2項が定める信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項といえ、消費者契約法第10条に該当し、無効となる。

(※1)不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)
(差止請求権等)
第三十四条 消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体(以下「適格消費者団体」という。)は、事業者が、不特定かつ多数の一般消費者に対して次の各号に掲げる行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為が当該各号に規定する表示をしたものである旨の周知その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。
 一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると誤認される表示をすること。
 二 [略]
2・3 [略]

(※2)消費者契約法
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

(注)上記差止請求が行われた日現在の規定

差止請求根拠条文

不当景品類及び不当表示防止法、消費者契約法第10条

結果

なら消費者ねっとは、令和7年3月28日、心整体に対し、本件表示及び本件条項についての申入れを開始し、心整体により申入れの趣旨に沿う対応がなされたものとして、令和8年3月3日、申入れを終了した。

当該裁判の主たる争点

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参考資料

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判決日・事案終了日

令和8年3月3日

ステータス

終了

適格消費者団体

なら消費者ねっと

お問い合わせ先

0742-93-7741

その他

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消費者庁公表資料

なら消費者ねっとと株式会社心整体との間の差止請求に関する協議が調ったことについて

この事案の経過