消費生活ネットワーク新潟と株式会社レッドバロンとの間の差止請求に関する協議が調ったことについて

差止請求詳細

事業分類

卸売業,小売業

事業者等名

株式会社レッドバロン

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費生活ネットワーク新潟(以下「消費生活ネットワーク新潟」という。)が、株式会社レッドバロン(以下「レッドバロン」という。)に対し、レッドバロンが使用する売買契約書の下記条項(以下「本件条項」という。)について、消費者契約法(以下「法」という。)第8条第1項第1号、第8条の2及び第10条(※1)に規定する消費者契約の条項に該当し無効であるとして、本件条項の削除又は修正を求めた事案である。

(本件条項)
① 消費者の受領遅滞があった際、レッドバロンが無催告解除することを認める旨を定めた条項
② 商品の引渡後はその商品が契約内容に適合しない場合であっても、消費者が異議を述べることを制限する旨を定めた条項
③ 瑕疵担保責任に関して、レッドバロンの責任の全部を免除又は消費者の解除権を制限する条項
④ 裁判所の管轄に関して、レッドバロンの所在地を管轄する名古屋地方裁判所岡崎支部又は岡崎簡易裁判所の専属的管轄とする旨を定めた条項
⑤ 下取車の売買契約もしくは代物弁済契約締結後、下取車を引き渡すまでの間に下取車に状態の変化が生じたことによってレッドバロンに損害が発生した場合に、レッドバロンが一方的に損害額を算定し、下取価格を減額できる旨を定めた条項
(理由)
ア 本件条項①について
 民法第413条は、受領遅滞があった際に、債務者が契約を解除することまで認めていないことに加え、本条項で想定される場面では、民法第542条の要件を満たさず、無催告解除はできない。そのため、本条項は、民法の規定に比して消費者の権利を制限するものである。また、レッドバロンが無催告で解除できることとなると、消費者は直ちに商品の所有権を失うことになる。
 そのため、消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものであり、法第10条に規定する消費者契約の条項に該当し無効である。
イ 本件条項②について
本条項の、消費者が異議を述べることを制限する旨の文言が、レッドバロンの責任の全部を免除するという趣旨であれば、事業者の債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償責任を免除するものであり、法第8条第1項第1号に規定する消費者契約の条項に該当し無効である。また、本条項の、消費者が異議を述べることを制限する旨の文言が、レッドバロンに債務不履行があり、契約内容と相違のある状態で商品が引き渡された場合にも消費者の解除権を制限するという趣旨であれば、事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させ、又は当該事業者にその解除権の有無を決定する権限を付与するものであり、法第8条の2に規定する消費者契約の条項に該当し無効である。
 加えて、消費者が引渡し以後に異議を述べることができない旨を規定する条項は、契約不適合責任に基づく代替物の引渡請求等の行使期間について1年以内とする民法第562条及び第566条の規定を制限するものであり、消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものであり、法第10条に規定する消費者契約の条項に該当し無効である。
ウ 本件条項③について
 本条項が、レッドバロンの責任の全部を免除するという趣旨であれば、事業者の債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償責任を免除するものであり、法第8条第1項第1号に規定する消費者契約の条項に該当し無効である。また、本条項が、消費者の解除権を制限するという趣旨であれば、事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させ、又は当該事業者にその解除権の有無を決定する権限を付与するものであり、法第8条の2に規定する消費者契約の条項に該当し無効である。
エ 本件条項④について
 レッドバロンが事業を全国展開しており、日本全国の消費者との間で紛争が生じ得るにもかかわらず、レッドバロンの所在地を管轄する裁判所を専属的管轄とすることは、民事訴訟法第5条の適用による場合に比べ、消費者の権利を制限し、消費者の利益を一方的に害するものといえ、法第10条に規定する消費者契約の条項に該当し無効である。
オ 本件条項⑤について
 本条項は、下取車を消費者に引き渡すまでの間に下取車に状態の変化が生じたことによってレッドバロンに損害が発生した場合に、レッドバロンが一方的に損害額を算定し、下取価格を減額できると定めることで、債務不履行と相当因果関係のある損害を超えて、消費者に対し高額な賠償を負わせる可能性を有する条項である。そのため、民法第416条の適用による場合に比べ消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものであり、法第10条に規定する消費者契約の条項に該当し無効である。
(※1)消費者契約法
(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)
第八条 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
 一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
 二~四 [略]
2・3 [略]
(消費者の解除権を放棄させる条項等の無効)
第八条の二 事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させ、又は当該事業者にその解除権の有無を決定する権限を付与する消費者契約の条項は、無効とする。
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
注)上記の差止請求が行われた日現在の規定

差止請求根拠条文

消費者契約法第8条第1項第1号、消費者契約法第8条の2、消費者契約法第10条

結果

 消費生活ネットワーク新潟は、令和7年2月21日、レッドバロンに対し、本件条項①~④についての申入れを開始し、更に同年10月22日、本件条項⑤についての申入れをし、レッドバロンにより申入れの趣旨に沿う対応がなされたものとして、同年12月19日、申入れを終了した。

当該裁判の主たる争点

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参考資料

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判決日・事案終了日

令和7年12月19日

ステータス

終了

適格消費者団体

消費生活ネットワーク新潟

お問い合わせ先

025-384-4021

その他

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消費者庁公表資料

この事案の経過