消費者被害防止ネットワーク東海と学校法人大阪歯科大学との間の差止請求に関する協議が調ったことについて

差止請求詳細

事業分類

教育,学習支援業

事業者等名

学校法人大阪歯科大学

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者被害防止ネットワーク東海(以下「消費者被害防止ネットワーク東海」という。)が、学校法人大阪歯科大学に対し、同法人が運営する大阪歯科大学(以下「本件大学」という。)が使用している令和7年度入学者選抜要項における、出願者が本件大学の入学試験を受験するために支払った入学検定料はいかなる場合も返金しないとする旨の条項(以下「本件条項」という。)について、消費者契約法(以下「法」という。)第10条(※1)に規定する消費者契約の条項に該当し無効であるとして、本件条項の修正を求めた事案である。

(理由)
 本件条項は、例えば、出願者が、入学検定料の支払後に、出願書類を提出せず出願書類の審査が行われなかった場合や、出願書類は提出したものの本件大学が書類不備と判断して受理せず受験票を発行しなかったというような場合でも、入学検定料を一切返金しないとするものである。受験票が発行されていない場合には出願者と本件大学との間で受験契約が成立しておらず、出願者は支払済みの入学検定料について本件大学に対して不当利得返還請求権(民法第703条)を有するところ、本件条項はこれを制限するものであり、民法第703条の適用による場合に比して消費者の権利を制限する条項である。また、出願書類が提出された場合に、本件大学が審査に一定の業務を要するとしても、入学試験手続全体の業務・費用における割合は僅かなものであり、出願書類が提出されなかった場合は更にその割合が少なくなるところ、本件大学が受験票を発行せず受験契約が成立しなかった場合でも、一律に入学検定料全額を返金しないとすることには合理性がなく、信義則(民法第1条第2項)に反して消費者の利益を一方的に害するものといえる。よって、本件条項は、法第10条に規定する消費者契約の条項に該当し無効である。

(※1)消費者契約法
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

注)上記の差止請求が行われた日現在の規定

差止請求根拠条文

消費者契約法第10条

結果

 消費者被害防止ネットワーク東海は、令和7年1月21日、学校法人大阪歯科大学に対する申入れを開始し、同法人により申入れの趣旨に沿う対応がなされたものとして、令和7年5月20日、申入れを終了した。

当該裁判の主たる争点

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参考資料

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判決日・事案終了日

令和7年5月20日

ステータス

終了

適格消費者団体

消費者被害防止ネットワーク東海

お問い合わせ先

052-734-8107

その他

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消費者庁公表資料

この事案の経過