埼玉消費者被害をなくす会と株式会社HALとの間の差止請求に関する協議が調ったことについて

差止請求詳細

事業分類

教育,学習支援業

事業者等名

株式会社HAL

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人埼玉消費者被害をなくす会(以下「埼玉消費者被害をなくす会」という。)が、株式会社HAL(以下「HAL」という。)に対し、HALが「Dr.Stick typeX」(以下「本件商品」という。)を販売するウェブサイトにおける広告(以下「本件広告」という。)のうち、以下の各表示(以下「本件表示」という。)について、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という。)第34条第1項第2号(※1)に規定される有利誤認表示に該当するとして、本件表示の使用停止又は修正を求め、また、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第12条の6第1項に規定される特定申込みを受ける場合、当該特定申込みに係る手続が表示される映像面(以下「最終確認画面」という。)において売買契約の申込みの撤回又は解除に関する事項を表示しなければならないにもかかわらず(特定商取引法第12条の6第1項第2号)、これを表示していなかったことが、特定商取引法第58条の19第2号(※2)に該当するとして、最終確認画面の表示の修正を求めた事案である。

(本件表示)
1 「本体相当分無料! 11,220円OFFで今すぐ手に入れる!」
2 「どのような理由でも満足できなかった場合は、初回分を全額返金致します。」
3 「購入回数に縛りなし」、「お届け回数に関わらず解約OK!」、「お届け回数の契約縛りなし!」

(理由)
 【本件表示】
1 上記1の表示は二重価格表示に当たるところ、二重価格表示を行う場合、比較対照価格がどのような価格であるかを正確に表示することが求められるが、上記1の表示では比較対照価格が表示されていないことから、商品の価格について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると誤認される表示(景品表示法第34条第1項第2号)に該当する。
2 上記2の表示については、その下部において注意事項、適用条件及びお申込み手順が記載されているが、その文字が小さく見づらいことから、あたかも無条件で初回分全額返金保証を受けられるものと消費者を誤認させるおそれがあるため、商品の取引条件について、実際のものよりも著しく有利であると誤認される表示(景品表示法第34条第1項第2号)に該当する。
3 本件広告では、「ご注文完了後のお客様都合による返品・交換・ご注文のキャンセルについては、一切受け付けておりません。」との注意書きがあり、また、クレジットカードの悪用等を想定した対策として、「1回目にお届けした商品のお受け取り」を解約の条件としていることから、本件商品の定期購入契約を解約するに当たっては、実際には、1回目の商品を受け取ることが条件となっている。しかし、上記3の表示では、あたかも1回も商品を受け取ることなく契約を解約できるものと消費者を誤認させるおそれがあるため、商品の取引条件について、実際のものよりも著しく有利であると誤認される表示(景品表示法第34条第1項第2号)に該当する。

 【最終確認画面】
 「ご注文内容の確認」という画面は最終確認画面に当たるところ、特定商取引法第12条の6第1項第2号では、最終確認画面において売買契約の申込みの撤回又は解除に関する事項を表示すべきものとされているにもかかわらず、「ご注文内容の確認」においては「1回目にお届けした商品のお受け取り」が解約の条件である旨が表示されていないことから、特定商取引法第58条の19第2号に該当する。

(※1)景品表示法
(差止請求権等)
第三十四条 消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体(以下「適格消費者団体」という。)は、事業者が、不特定かつ多数の一般消費者に対して次の各号に掲げる行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為が当該各号に規定する表示をしたものである旨の周知その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。
 一 [略]
 二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると誤認される表示をすること。
2・3 [略]

(※2)特定商取引法
(通信販売に係る差止請求権)
第五十八条の十九 適格消費者団体は、販売業者又は役務提供事業者が、通信販売に関し、不特定かつ多数の者に対して次に掲げる行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、その販売業者又は役務提供事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。
 一 [略]
 二 特定申込みに係る書面又は手続が表示される映像面に、第十二条の六第一項各号に掲げる事項につき表示をしない行為又は不実の表示をする行為
 三・四 [略]

注)上記の差止請求が行われた日現在の規定

差止請求根拠条文

不当景品類及び不当表示防止法、特定商取引法

結果

 埼玉消費者被害をなくす会は、令和6年12月11日、HALに対する申入れを開始し、HALにより申入れの趣旨に沿う対応がなされたものとして、令和7年3月6日、申入れを終了した。

当該裁判の主たる争点

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参考資料

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判決日・事案終了日

令和7年3月6日

ステータス

終了

適格消費者団体

埼玉消費者被害をなくす会

お問い合わせ先

048-844-8972

その他

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消費者庁公表資料

この事案の経過