やまなし消費者支援ネットと株式会社加取との間で差止請求に関する協議が調ったことについて

差止請求詳細

事業分類

建設業

事業者等名

株式会社加取

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人やまなし消費者支援ネット(以下「やまなし消費者支援ネット」という。)が、株式会社加取(以下「加取」という。)に対し、加取のチラシ又はウェブサイトの各表示(以下「本件表示」という。)について、以下のとおり不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という。)第30条第1項第2号※2に規定する有利誤認表示に該当するものとして、本件表示の削除又は修正を求めた事案である。

(本件表示)
①「年間の光熱費削減、売電収入を貯めると、年間24万円~30万円貯蓄できます。」等と表示し、光熱費削減及び売電収入により最低でも年間24万円の貯蓄が実現されるかのように示す表示
②「一般住宅光熱費¥16,000円(全国平均)-太陽光発電(4kw以上)+オール電化住宅=光熱費を大幅に削減」、「20,000×360=720万円/30年」等と表示し、30年間で720万円の利益が生じるかのように示す表示
③ 賃貸と加取の分譲住宅を対比させ、「賃貸、光熱費(電気・ガス代)24,000円、家賃65,000円、月の生活負担額89,000円」、「カトリの高性能住宅土地付、光熱費(電気代)±0円、ローン代67,000円-24,000円(電気代分)、月の生活負担額55,000円」、「毎月3.4万円お得!」、「35年で14,280,000円」等と表示し、賃貸と比較して毎月3.4万円の利益が生じ、35年で1,428万円の利益が累積するかのように示す表示
④ 一般の住宅と加取の高性能住宅・太陽光・オール電化とを対比させ、「35年で1,050万円もお得!」、「高断熱仕様300万円÷30万円=10年で回収」等と表示し、一般住宅の場合と比べて35年で1,050万円の利益が生じるかのように示す表示
⑤ 住宅ローンを用いた場合として、「月々返済67,000円」、「光熱費削減-24,000円」、「月の生活負担43,000円」等と表示し、分譲住宅を購入した際の毎月の負担額が月々の住宅ローンの返済額から光熱費削減の金額であるかのように示す表示
⑥ 他の条件を併記することなく「期間限定特別価格」等と表示し、他の条件なく期間中に契約することのみで割引を受けられるかのように示す表示
⑦「カトリホームで建設されたZEH住宅と、従来の住宅での光熱費・水道費を比較しました。」と記載した上、「年間光熱費・水道費が276,820円も節約できました」等の表示
⑧「太陽光発電でさらにおトク年間利益95,420円」として、かかる年間利益も含めて「年間光熱費・水道費が276,820円も節約できました。」等の表示

(理由)
 本件表示のうち、上記①から④まで及び⑧は、加取から回答された内容、客観的資料、現在の売電単価及び売電制度を踏まえると、購入者が各表示に係る経済的利益を得ることはできないにもかかわらず、これが得られるかのように一般消費者に誤認される表示であり、有利誤認表示に該当する。
 本件表示のうち、上記⑤は、別途発生する太陽光発電・蓄電池の月額リース料金を考慮しておらず、かつ、現在の売電制度を踏まえると光熱費を一律に24,000円削減することは不可能であるから、表示に係る月額返済額となることはないにもかかわらず、このような月額返済額となるかのように一般消費者に誤認される表示であり、有利誤認表示に該当する。
 本件表示のうち、上記⑥は、実際にはモニターハウスとしての協力及びエネカリ契約(太陽光発電・蓄電池のリースサービスの契約)の締結が条件となっているにもかかわらず、特定期間に契約を締結すること以外の条件は無いかのように一般消費者に誤認される表示であり、有利誤認表示に該当する。
 本件表示のうち、上記⑦は、表示に係る内容が、実際に加取が建設した住宅において測定された数値ではないにもかかわらず、加取が建設した住宅において測定された数値であるかのように一般消費者に誤認される表示であり、有利誤認表示に該当する。

(※1)景品表示法
第三十条 消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体(以下この条及び第四十一条において単に「適格消費者団体」という。)は、事業者が、不特定かつ多数の一般消費者に対して次の各号に掲げる行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為が当該各号に規定する表示をしたものである旨の周知その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。
 一 [略]
 二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると誤認される表示をすること。
2・3 [略]

注)令和5年3月28日付けの差止請求が行われた日の規定

差止請求根拠条文

不当景品類及び不当表示防止法

結果

 やまなし消費者支援ネットは、令和5年3月28日、加取に対し、本件表示①から⑥までについての申入れを開始し、更に令和6年10月15日、本件表示⑦及び⑧についての申入れをし、加取により、本件表示の削除がなされたことを確認したものとして、令和6年11月26日、申入れを終了した。

当該裁判の主たる争点

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参考資料

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判決日・事案終了日

令和6年11月26日

ステータス

終了

適格消費者団体

やまなし消費者支援ネット

お問い合わせ先

055-269-7771

その他

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消費者庁公表資料

この事案の経過