消費者支援ネット北海道とトラストライン株式会社との間の差止請求に関する協議が調ったことについて

差止請求詳細

事業分類

卸売業,小売業

事業者等名

トラストライン株式会社

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者支援ネット北海道(以下「消費者支援ネット北海道」という。)が、トラストライン株式会社(以下「トラストライン」という。)に対し、トラストラインが運営するウェブサイトの広告における表示(以下「本件表示」という。)について、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という。)第30条第1項第2号(※1)に該当するものとして、本件表示の使用停止を求め、また、トラストラインのウェブサイトの利用規約における各条項(以下「本件条項」という。)について、消費者契約法第8条第1項第1号及び第3号並びに第10条(※2)に規定する消費者契約の条項に該当するものとして、本件条項の削除又は変更を求めた事案である。

(本件表示)
定期受取の約束はない旨の表示
(本件条項)
1 返品・交換の手続、期限及び対象となる商品を制限する旨の条項
2 パスワードを用いて行われた意思表示を会員本人の意思表示とみなし、同意思表示により生じる支払等に関する責任を全て会員に帰属させる旨の条項
3 トラストラインの故意・過失により会員に損害が生じた場合でも、トラストラインが会員に対し一切責任を負わない旨の条項

(理由)
【本件表示】
 実際は定期購入契約であるにもかかわらず、定期購入契約ではないかのような印象を一般消費者に与えるものであり、商品の価格その他の取引条件について、実際のものよりも著しく有利であると誤認される表示であり、景品表示法第30条第1項第2号の有利誤認表示に該当する。
【本件条項】
1 上記1の条項は、返品・交換について、商品到着後24時間以内に連絡した場合のみ交換に応じ、一度でも使用した形跡がある物については交換に応じない旨を定めているが、消費者が商品の品質に問題があるかどうかを認識するためには、使用開始から一定期間を要するものであり、また、外観だけでは品質に問題があるかを認識することは不可能であることから、本条項は、契約不適合責任をトラストラインに追及することを事実上不可能とするもので、著しく不合理といえ、法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は義務を加重する条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであり、消費者契約法第10条に規定する消費者契約の条項に該当し無効である。
2 上記2の条項は、パスワードを用いて行われた意思表示は会員本人の意思表示であるため、生じる支払等については全て会員の責任としており、トラストラインの故意・過失により会員情報が漏えいした場合等においても、会員本人に責任を帰属させるものであることから、法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は義務を加重する条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであり、消費者契約法第10条に規定する消費者契約の条項に該当し無効である。
3 上記3の条項は、トラストラインに故意・過失があった場合においても、会員に生じた損害についてトラストラインの債務不履行及び不法行為に基づく損害賠償責任の全部を免除するものであり、消費者契約法第8条第1項第1号及び第3号に規定する消費者契約の条項に該当し無効である。

(※1)景品表示法
第三十条 消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第二条第四項に規定する適格消費者団体(以下この条及び第四十一条において単に「適格消費者団体」という。)は、事業者が、不特定かつ多数の一般消費者に対して次の各号に掲げる行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該事業者に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為が当該各号に規定する表示をしたものである旨の周知その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。
 一 [略]
 二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると誤認される表示をすること。
2・3 [略]

(※2)消費者契約法
(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)
第八条 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
 一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当 該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
 二 [略]
 三 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
 四 [略]
2・3 [略]
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

注)上記の差止請求が行われた日現在の規定

差止請求根拠条文

不当景品類及び不当表示防止法、消費者契約法第8条第1項第1号、消費者契約法第8条第1項第3号、消費者契約法第10条

結果

 消費者支援ネット北海道は、令和6年7月30日、トラストラインに対する申入れを開始し、トラストラインにより申入れの趣旨に沿う対応がなされたものとして、令和6年12月13日、申入れを終了した。

当該裁判の主たる争点

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参考資料

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判決日・事案終了日

令和6年12月13日

ステータス

終了

適格消費者団体

消費者支援ネット北海道

お問い合わせ先

011-221-5884

その他

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消費者庁公表資料

この事案の経過