消費者支援かながわとYBC横浜美容外科との間の差止請求に関する協議が調ったことについて

差止請求詳細

事業分類

医療,福祉

事業者等名

YBC横浜美容外科

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者支援かながわ(以下「消費者支援かながわ」という。)が、YBC横浜美容外科に対し、YBC横浜美容外科が使用する契約関係書類である「施術のご予約とキャンセル料の取り決め」の下記条項(以下「本件条項」という。)について、消費者契約法(以下「法」という。)第10条(※1)に規定する消費者契約の条項に該当し無効であるとして、本件条項の削除又は修正を求めた事案である。

(本件条項)
① キャンセル料等は、予約キャンセルの理由を問わず発生する旨を定めた条項
② キャンセル料等の支払を確認した後にキャンセルが確定する旨を定めた条項
③ キャンセル手続のために来院予約を求める旨を定めた条項

(理由)
ア 上記①の条項は、消費者による契約の解除に際し理由を問わず損害賠償義務を発生させる条項であるところ、委任契約の解除に伴う損害賠債義務を定める民法第651条第2項は、同項ただし書において「やむを得ない事由」がある場合にはこの限りでないと規定しており、同項ただし書の適用による場合に比して消費者の義務を加重するものであるから、法第10条の第一要件に該当する。加えて、消費者が契約を解除する理由には不可抗力や事業者側の事情などを含め様々なものがあり得るところ、上記①の条項は、それらについて一切考慮せず、一律に損害賠償義務を課すものであり、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるから、法第10条の第二要件に該当する。したがって、上記①の条項は、法第10条に規定する消費者契約の条項に該当し無効である。
イ 上記②の条項は、消費者からの契約の解除にキャンセル料等の支払を要件としている条項と考えられるところ、契約の解除の方法について「相手方に対する意思表示」で足りるとする民法第540条第1項の適用による場合に比して消費者の権利を制限するものであるから、法第10条の第一要件に該当する。加えて、契約の解除は消費者を契約の拘束力から解放する重要な手段であり、その正当な行使は制限を受けるべきでなく、また、上記アのとおり、消費者による契約の解除について民法第651条第2項ただし書の「やむを得ない事由」を一切考慮せずキャンセル料等を定めており、上記②の条項は、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるから、法第10条の第二要件に該当する。したがって、上記②の条項は、法第10条に規定する消費者契約の条項に該当し無効である。
ウ 上記③の条項は、キャンセル手続の選択肢として来院しか挙げていないところ、消費者による契約の解除の方法について、来院しなければ解除できないとの疑義を生じさせ、消費者による正当な解除権の行使を妨げることから、上記③の条項は、上記②の条項と同様に法第10条に規定する消費者契約の条項に該当し無効である。

(※1)消費者契約法
 (消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

注)上記の差止請求が行われた日現在の規定

差止請求根拠条文

消費者契約法第10条

結果

 消費者支援かながわは、令和6年7月16日、YBC横浜美容外科に対する申入れを開始し、YBC横浜美容外科により申入れの趣旨に沿う対応がなされたものとして、令和7年8月18日、申入れを終了した。

当該裁判の主たる争点

-

参考資料

-

判決日・事案終了日

令和7年8月18日

ステータス

終了

適格消費者団体

消費者支援かながわ

お問い合わせ先

045-349-9729

その他

-

消費者庁公表資料

この事案の経過