消費者被害防止ネットワーク東海とデジタル庁との間で差止請求に関する協議が調ったことについて

差止請求詳細

事業分類

情報通信業

事業者等名

デジタル庁

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者被害防止ネットワーク東海(以下「消費者被害防止ネットワーク東海」という。)が、デジタル庁に対し、同庁が運営するマイナポータルの利用規約における以下の条項(以下「本件条項」という。)について、消費者契約法(以下「法」という。)第8条第1項第1号及び第3号並びに第10条(※1)に規定する消費者契約の条項に該当し無効であるとして、下記のとおり本件条項の修正又は削除を求めた事案である。

ア 免責条項
 利用者本人又は第三者に損害が生じた場合、デジタル庁の故意又は重過失によるものである場合を除き、デジタル庁は責任を負わない旨定める条項は、軽過失の場合について全部免責を定めるものであり、法第8条第1項第1号又は第3号に規定する消費者契約の条項に該当し無効である。
イ 専属的合意管轄条項
 マイナポータルの利用に関連してデジタル庁と利用者間に生ずる全ての訴訟について東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所と定める条項は、マイナポータルは、日本全国を対象とした行政のオンライン窓口というサービスの性質上、日本全国の利用者との間で紛争が生じる可能性があるにもかかわらず、一般消費者が、その居住地の管轄裁判所等で提訴することを排除して、東京地方裁判所での提訴を強いられることになるから、個別事件における請求や当事者の属性を考慮して事件と最も密接に関連する土地について特別裁判籍を定めた民事訴訟法第5条の適用による場合に比し、消費者の権利を一方的に制限する内容であり、法第10条に該当し無効である。

(※1)消費者契約法
(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)
第八条 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
 一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
 二 [略]
 三 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
 四 [略]
2 [略]

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

注)上記の差止請求が行われた日現在の規定

差止請求根拠条文

消費者契約法第8条第1項第1号、消費者契約法第8条第1項第3号、消費者契約法第10条

結果

 消費者被害防止ネットワーク東海は、令和6年2月20日、デジタル庁に対する申入れを開始し、同庁により申入れの趣旨に沿う対応がなされたものとして、令和6年8月20日、申入れを終了した。

当該裁判の主たる争点

-

参考資料

-

判決日・事案終了日

令和6年8月20日

ステータス

終了

適格消費者団体

消費者被害防止ネットワーク東海

お問い合わせ先

052-734-8107

その他

-

消費者庁公表資料

この事案の経過