京都消費者契約ネットワークと株式会社ジェイ・エス・ビーの判決について

差止請求詳細

事業分類

不動産業,物品賃貸業

事業者等名

株式会社ジェイ・エス・ビー

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人京都消費者契約ネットワーク(以下「原告」という。)が、不動産賃貸借及び不動産賃貸借の仲介業務等を目的とする株式会社ジェイ・エス・ビー(以下「被告」という。)に対し、被告が不特定かつ多数の消費者との間で、居住用建物賃貸借契約を締結又は合意更新するに際し、消費者が被告に対して更新料を支払う旨の条項(以下「更新料条項」という。)が消費者契約法(以下「法」という。)第10条により無効であるとして、主位的に、更新料条項を含む意思表示の停止及び同行為に供する契約書用紙の破棄を求め、予備的に、更新期間1年に対する更新料の額が月額賃料の2倍以上の更新料を支払う旨の条項につき、主位的請求と同様に、その意思表示の停止及び同行為に供する契約書用紙の破棄を求めた事案である(平成22年10月29日付けで、京都地方裁判所に対して訴えを提起。)。

差止請求根拠条文

消費者契約法第10条

結果

 京都地方裁判所は、平成24年1月17日、以下の理由により原告の請求をいずれも棄却した。

当該裁判の主たる争点

①更新料条項の全部又は一部が法10条により無効とされるべきか。
②更新料条項の差止めの範囲。

 争点①について、まず、「更新料条項は、一般的には賃貸借契約の要素を構成しない債務を特約により賃借人に負わせるという意味において、任意規定の適用による場合に比し、消費者である賃借人の義務を加重するものに当たるというべき」であるが、「当該条項が信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるか否かは、消費者契約法の趣旨、目的(同法1条参照)に照らし、当該条項の性質、契約が成立するに至った経緯、消費者と事業者との間に存する情報の質及び量並びに交渉力の格差その他諸般の事情を総合考量して判断されるべきである」とした。その上で、更新料は、「一般に、賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有する」ものであり、「更新料の支払にはおよそ経済的合理性がないなどということはできない。」とした上で、「更新料条項が賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載され、賃借人と賃貸人との間に更新料の支払に関する明確な合意が成立している場合に、賃借人と賃貸人との間に、更新料条項に関する情報の質及び量並びに交渉力について、看過し得ないほどの格差が存するとみることもできない」とし、「更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと解するのが相当である。」とした。そして、被告が現に使用していた更新料条項も、具体的な賃貸借契約における個別具体的な事情にかかわらず高額に過ぎると直ちに断定できず、特段の事情があると認めることができないことから、法10条により無効であるということはできないとした。
 また、争点②のうち、更新料条項の全部無効を理由とする全部差止請求の可否については、「原告は、更新料条項がおよそ無効であることを前提として、更新料条項の使用が全部差し止められるべきであると主張するが」「その前提が失当であるから、これを採用することはできない」とした。更新料条項が無効となる場合があることを理由とする全部差止請求の可否については、「具体的に一部の消費者については有効となりうるとしても無効となる場合があるときにはおよそ更新料条項の使用が差し止められるべきであるという原告の主張は採用することができない」とした。また、主位的請求について一部認容が可能との主張については、「裁判所において更新料の額が高額に過ぎるか否かの評価根拠事情を特定する必要があるが」「根拠事情は多様であるから、認容すべき範囲を確定することができないおそれがある」とともに、「原告の主位的請求につき一部認容を認めるとなると、防御対象となる前記の根拠事情の多様さゆえに、被告に対して不意打ちとなるおそれもある」ことから、認めることはできないとした。
 さらに、予備的請求についても、「更新期間1年に対する更新料の額が月額賃料の2倍の更新料を支払う旨の条項が個々の賃貸借に伴う個別具体的な事情を考慮することなく直ちに前記特段の事情に該当して法10条により無効となるとは認められないし、他の特段の事情の存在によりこれが無効となる場合があり得るとしても、このことを理由として、その条項の使用の全部の差止めを認めることはできない。また、裁判所において更新料の額が高額に過ぎるとの評価に至る根拠となる事情を特定してその一部を認容することができないことも、主位的請求の場合と同様である。」として原告の請求をいずれも棄却した。

参考資料

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判決日・事案終了日

平成24年1月17日

ステータス

終了

適格消費者団体

京都消費者契約ネットワーク

お問い合わせ先

075-211-5920

その他

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消費者庁公表資料

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この事案の経過