消費者支援群馬ひまわりの会とMiaMiaこと細谷亮太氏との間で差止請求に関する協議が調ったことについて

差止請求詳細

事業分類

生活関連サービス業,娯楽業

事業者等名

MiaMiaこと細谷亮太氏

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者支援群馬ひまわりの会(以下「消費者支援群馬ひまわりの会」という。)が、MiaMiaこと細谷亮太氏(以下「細谷氏」という。)に対し、同人が使用しているパーソナルトレーニングジム契約の各条項(以下「本件条項」という。)について、以下のとおり消費者契約法(以下「法」という。)(※)第8条第1項第1号及び第3号、第9条第1号並びに第10条に該当し無効であるとして本件条項の削除又は修正を求めた事案である。

(本件条項)
 ア 不返金条項
  ・契約期間中であっても原則払い戻しはしないものとする。
 イ 免責条項
(ア)変更前
 ①トレーニング中に甲の不注意によって発生した事故及び怪我について、乙は一切責任を負わないものとする。
 ②悪質な施術または明らかな過失がない限り、施術中における事故および怪我について、乙は一切責任を負わないものとする。

(イ)変更後
 ・当ジムでの指導及び施術中またはジム内の設備利用中に事故等が発生した場合、乙が甲に対し負う損害賠償額は10万円を上限とする。ただし、乙に故意または重過失がある場合は除く。また過失の有無については医師を原則とした第三者の診断に準ずるものとする。

(理由)
 本件条項のうち、上記アは、消費者の都合による退会である場合、返金を認めない旨を定めているところ、契約内容がパーソナルトレーニング指導等であり、将来の役務提供部分について、いまだ提供されていない以上、実際に損害が生じるとは考えられず、また、将来の役務提供がなくなることも織込み済みであることから、「平均的な損害」はないものと評価するのが相当であるため、法第9条第1号に該当し、その全部が無効である。また、パーソナルトレーニング契約は、法律行為でない事務を委託する準委任契約であり、準委任契約はいつでも解約可能であるのが原則であり(民法第651条第1項)、報酬請求も、既に履行した割合に応じて行うことができるにとどまるところ(民法第648条第3項)、上記アは、民法上の規定によるならば認められるべき権利を特段の理由なく一方的に制約するものであり、法第10条にも該当し、無効である。
 本件条項のうち、上記イ(ア)①は、消費者に過失があれば、細谷氏の過失の有無にかかわらず、細谷氏が損害賠償責任を負わない旨を定めているものであり、法第8条第1項第1号及び第3号に該当し、無効である。
 本件条項のうち、上記イ(ア)②は、細谷氏に故意又は重過失がない場合に、消費者側に損害が生じたとき、細谷氏の損害賠償責任を全部免除するものであり、法第8条第1項第1号及び第3号に該当し、無効である。
 本件条項のうち、上記イ(イ)は、施術等による事故によって損害が発生した場合、細谷氏が負う損害賠償額の上限を10万円とするものであり、10万円よりもはるかに高額な損害が発生した場合において、消費者が請求できる損害賠償額を著しく制限するものであり、法第8条第1項第1号及び第3号に該当し、無効である。

(※)消費者契約法
(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)
第八条 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
 一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
 二 [略]
 三 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
 四 [略]

(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効等)
第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
 一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
 二 [略]

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
(注)上記差止請求が行われた日現在の規定

差止請求根拠条文

消費者契約法第8条第1項第1号、消費者契約法第8条第1項第3号、消費者契約法第9条第1号、消費者契約法第10条

結果

消費者支援群馬ひまわりの会は、令和4年12月8日、MiaMiaこと細谷亮太氏に対する申入れを開始し、同人により申入れの趣旨に沿う対応がなされたものとして、令和5年12月22日、申入れを終了した。

当該裁判の主たる争点

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参考資料

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判決日・事案終了日

令和5年12月22日

ステータス

終了

適格消費者団体

消費者支援群馬ひまわりの会

お問い合わせ先

0277-55-1400

その他

-

消費者庁公表資料

この事案の経過