大分県消費者問題ネットワークと岡の里名水マラソン大会実行委員会との間の差止請求に関する協議が調ったことについて

差止請求詳細

事業分類

生活関連サービス業,娯楽業

事業者等名

岡の里名水マラソン大会実行委員会

事案の内容

 本件は、適格消費者団体である特定非営利活動法人大分県消費者問題ネットワーク(以下「大分県消費者問題ネットワーク」という。)が、岡の里名水マラソン大会実行委員会に対し、第34回岡の里名水マラソン大会の大会要項の各条項(以下「本件条項」という。)について、以下のとおり消費者契約法(以下「法」という。)第8条第1項第1号、第2号及び第3号並びに第10条(※)により無効であるとして本件条項の変更を求めた事案である。

(本件条項)
ア 注意事項①
 競技中の事故については、主催者で応急処置は行いますが、主催者に重過失がある場合を除きそれ以外の責任を負いません。(主催者で保険に加入しますが、競技中の事故等については、その保険の適用範囲とします)
イ 参加規約(5)
 大会開催中に傷病が発生した場合、応急手当を受けることに異議ありません。その方法、経過等について、主催者の責任を問いません。
ウ 参加規約(6)
 私は、大会開催中の事故、紛失、傷病等に関し、主催者の責任を免除し、損害賠償等の請求を行いません。
エ 注意事項③
 貴重品や手荷物等の管理は各自の責任とし、主催者は一切責任を負いません。また、駐車場での事故や盗難等についても、責任を負いかねます。
オ 注意事項5及び参加規約(1)
 過剰入金・重複入金の返金はいたしません。

(理由)
 本件条項のうち、注意事項①は、主催者に重過失が認められる場合でも、主催者の責任の範囲を保険の適用範囲に限定するものであって、法第8条第1項第2号により無効である。
 本件条項のうち、参加規約(5)及び(6)は、主催者の債務不履行責任及び不法行為責任に基づいて発生した競技中の事故等の場合でも、主催者の責任を全て免除するものであって、法第8条第1項第1号及び第3号により無効である。
 本件条項のうち、注意事項③及び参加規約(6)は、主催者の債務不履行責任及び不法行為責任に基づいて発生した紛失の場合でも、主催者の責任を全て免除するものであって、法第8条第1項第1号及び第3号により無効である。
 本件条項のうち、注意事項5及び参加規約(1)は、民法第703条(不当利得の返還義務)が適用される場合に比して消費者の権利を制限するものであって、かつ、一律に超過分の返還義務を否定すべき合理的理由はないことから、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるから、法第10条により無効である。

(※)消費者契約法
(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)
第八条 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
 一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
 二 事業者の債務不履行(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し、又は当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項
 三 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
 四 [略]
2・3 [略]

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
(注)上記差止請求が行われた日現在の規定

差止請求根拠条文

消費者契約法第8条第1項第1号、消費者契約法第8条第1項第2号、消費者契約法第8条第1項第3号、消費者契約法第10条

結果

 大分県消費者問題ネットワークは、令和5年10月27日、岡の里名水マラソン大会実行委員会に対する申入れを開始し、申入れの趣旨に沿う対応がなされたものとして、令和6年1月26日、申入れを終了した。

当該裁判の主たる争点

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参考資料

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判決日・事案終了日

令和6年1月26日

ステータス

終了

適格消費者団体

大分県消費者問題ネットワーク

お問い合わせ先

097-521-2206

その他

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消費者庁公表資料

この事案の経過